【ベンチャー経営4】営業経験なしの経営者がどうやって売上を?(後編)

公開 : 2015.03.10  最終更新 : 2019.09.05
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前回、創業時に売上を上げるポイントの中で1と2まで書きましたので、今回は3と4について書いていきたいと思います。
なお、前回挙げた営業戦略についてのキーワードは以下4点です。
1.数より質を重視 2.数を重視 3.リピートを重視 4.営業マインド

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売上確保のための「リピート重視」とは?

ここで重要なのは継続的な売上を上げるということです。実は、リピートが一番良いやり方ではありません。
もっと良いのは「継続」だと思います。例えばソフトウェアベンダーやSI企業であれば「保守費用」、その他IT関連で多いのは「常駐派遣」といったものでしょう。つまり、「継続」は一回契約ができれば最低でも一年間くらいは毎月お金が入ってくるものです。一方、リピートとは契約終了時に次の契約を提案する必要がありますので、契約がそこで終わってしまうリスクが伴います。

NCDCでは現在はAppPotというソフトウェアを販売していますので、保守サービスがありますが、当初は「継続」といったビジネスはやりませんでした。ここにはこだわりがあったからです。一つの契約が終わったあとに、次の契約のお話をいただけるか否かは、我々のサービスの評価がダイレクトにわかります。NCDCでは高品質なサービスを目指していますので、担当した人が常に責任をもって高い評価をいただき、一つの契約が終わったら、また別の話を頂けるように努力する仕組みのほうが良いと思っています。常駐派遣のようなビジネスの場合、社員のごとく長期に渡って仕事をしていますので、とんでもなく悪い評価でない限り、契約途中解約はありません。しかし、それでは慣れ合いが発生し、緊張感が薄れ、個人の成長の妨げになると私は考えているからです。
「短期の契約でミッションを明確にして結果を出し、次の契約の話をいただけるよう努力することでスキルを伸ばす。」
この部分に関しては最善の「継続」ではなく、中長期の会社の成長とのバランスのために「リピート」を採用したのです。実際、この部分はうまく機能していると思います。

担当しているコンサルタントはとても大変だと思いますが、NCDCのリピート率は大変高いと思います。そして、担当者のことを評価頂けていると思います。

売上確保のための「営業マインド」とは?

NCDCでは田原を採用するまで営業経験者が一名もいませんでしたが、営業マインドを持つことがとても重要だなと感じています。
私は会社員時代に営業経験は一度もありませんでした。会社経営して最初に思った小さな壁は「お客様に直接電話して、商談などについて交渉する」ということです。会社員時代は営業さんが提案や価格交渉といった「場」をセットしてくれていました。下交渉なども営業さんがしてくれていました。つまり、いままでは営業さんが場を作ってくれたところでプレゼンするか、提案するか、交渉するか、お客様とはメールでのやりとりが当たり前でした。しかし、会社を立ちあげたら、その場をセットするのも自分でやらないといけません。お客様にも直接電話で話したほうが良いことが当然でてきます。「ご検討状況はどうでしょうか?」といった電話をしたことがなかったのです。やってみたら大したことないことないことでも心理的なバリアがあることが多いです。こういったことを営業マインドを持つことでひとつずつトライしていきました。

もう一点は全員が売上等の数字について敏感になることです。自分の関わったプロジェクトの売上や提案案件の受注率などは社員全員が意識する。つまり全員が営業マインドを持つことが大事だと思っています。NCDCでは四半期単位で売上やプロジェクト収支を公開しています。そして年度単位で業績に応じた期末ボーナスを支給するようにしています。全員が営業マインドを持って活動し、結果、自分のボーナスにも反映されるという仕組みを作っています。3で述べたリピートが多い社員には当然報酬面でも報いるようにしています。
営業でなくとも数字に敏感という点は、外資系企業にいた時の経験が活きていると思います。日本企業でエンジニアをしていた時は正直、部署や自分の数字についてはあまり意識がなかったと思います。技術職で数字がそれほど大きな評価軸でもなかったと思いますし。しかし、最初に転職したHPでも、その後のBEAでも部署の数字の達成具合によって、ボーナスがでたり、やりたいことができるようになったり、人が減らされたりがドラスティックに行われるのを経験して、「エンジニアであっても数字を達成するのが大事だな」という感覚が浸透したと思います。この点は会社経営においては良かったと思います。
このように、NCDCでは全員営業の意識があるので、営業経験なしでも事業と立ち上げることができたと思っています。

次回は新しいサービスや事業に取り組むところの話をしたいと思います。

連載コラム
【ベンチャー経営1】40歳からなぜ起業した?
【ベンチャー経営2】創業時に最低限必要なこと
【ベンチャー経営3】創業初期に重要な数字とは?
【ベンチャー経営4】営業経験なしの経営者がどうやって売上を?(前編)
【ベンチャー経営5】新規サービスをどう作る?
【ベンチャー経営6】新規サービスをどう作る?(その2)

最後に、NCDCのサービスについて

このコラムを読んでいる方の多くは、起業に関心があるのだと思います。
NCDCでは比較的規模の大きな企業とのお取り引きが多いので、個人向けの起業支援のようなサービスはありませんが、企業内ベンチャーや新規事業開発部門で新製品やサービスの立ち上げに取り組む方のお役には立てると思います。
新サービス開発支援のコンサルティングから、UX/UIデザイン、業務システムやモバイルアプリの開発まで、一元的なサポートが可能なので、もし新規事業に取り組むためのヒントを探してこの「ベンチャー経営コラム」に関心を持っていただいた方がいれば、お気軽にご相談ください。

※この連載コラムはNCDC創業から5年目前後の2014~2016年に書かれたものです。会社の規模やサービスも徐々に変化しており2019年現在で古くなっている情報もありますが、起業やベンチャー企業で働くことに興味がある方向けに、「ベンチャー起業創業から数年目の経営者の考えたこと、やったこと」を知っていただくヒントとして、当時の記事をほぼそのまま掲載しています。

早津俊秀

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