【ベンチャー経営1】40歳からなぜ起業した?

公開 : 2014.12.06  最終更新 : 2019.09.05
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NCDCも残り四半期で第四期も終わり、第五期に入ります。支えて頂いているお客様、パートナー企業様には感謝の言葉しかありません。
ここから数回の連載でベンチャー企業経営について書いてみたいと思います。起業のきっかけ、独立と起業の違い、ビジネスモデル、資金政策、創業時に大切なこと、社員の採用、などなど。第一回は本当によく聞かれる質問でもある、「なぜ会社を起こしたのか?」について書いてみたいと思います。
ちょっとパーソナルストーリーになってしまいますが、ご容赦ください。20代のWebサービスの起業家などのストーリーは多く存在しますが、私のような普通の会社員が40歳を過ぎてからの起業やBtoB向け事業での起業の話は多くはないと思います。しかし、実際には興味がある方も多いと思いますので、そういった方の参考になればと思います。

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まず起業しようと思ったきっかけですが、実は、社会人になる時から考えていました。ただ、そのころは漠然としていて、「会社を5年ほどで辞めて、自分で食べていける道を探そう」位の感じでした。結果、40歳を過ぎてやっとNCDCを起業しましたので、そこから相当な時間がかかりました。それぞれのステージで起業に関しての考え方が変わっていきました。時系列で整理してみたと思います。

社会人になりたての頃の将来像

新卒で技術系で入社したNTTでしたが、5年以内で辞めてテニスの指導者で食べていきたいと考えていました。国内のテニススクールみたいなところではなくて、錦織圭選手が本拠地としているニックボロテリーテニスアカデミーやハリー・ホップマンテニスアカデミーといった米国の施設でジュニアの育成などできないかなと。しかし、今考えてみるとそれも会社員ですね(笑)。新卒の時から「この会社は早いうちに辞めることになるし、そうなれるようにしたい」とは考えていました。従って、あまりに会社会社した取組への参加は極力避けて、自分の身になることにフォーカスしてスキルアップに力を入れていました。テニスを職業にしようと思っていましたので、週末は学生時代にコーチをしていたテニススクールで継続してコーチをしていました。

会社員での限界を最初に感じた時のこと

NTTで四年目の時、エンジニア部門から新規事業立案部門に異動になりました。建設に特化した新聞社とのJVで新しいネットのサービスを立ちあげたり、最大手フランチャイズ企業とJVでマルチメディアショップとECサイトを連動させた新ビジネスを立ちあげたりしました。私が関わった事業は残念ながら別会社を立ち上げるまでには至らなかったのですが、他のメンバーが立ちあげた事業が別会社として会社が設立された時、グループ会社の天下り的な方が社長に就任されるんですね。それを見ていて、残念な気持ちになりました。その主メンバーが社長になれば良いのにと。その時、私は「自分で考えた事業は自分で社長になるしか事業成功の道はないな」と明確に感じたのです。新規事業立ちあげの面白さも感じていましたので、この時から起業を真剣に意識し始めました。

数回の転職を通じての考えの変化

とにかく起業を考えていましたので、新規事業立ち上げや上場支援のようなミッションがある仕事に転職をしていきました。その間にも会社員としての仕事も面白く感じていましたし、恵まれた環境で仕事ができていたと思います。しかし、やればやるほど、会社員であることが窮屈に感じてきていました。もっと色々な価値をお客様に提供できるのに、会社側からNOを言われたり、私のようなやり方では良くないと言われたり。「本当に良くないのかな?こうやったほうが絶対にお客様にも会社にも良いはずだ」といったことがなかなか組織の中では出来ないことが多くなってきて、「もっと自由にやりたいな」という思いが強くなってきていました。
転職を数度繰り返したもう一つの理由ですが、「自分がどんな環境でやっていけるかチャレンジしてみたい」という気持ちがありました。新卒での日本最大の企業や外資の大手企業、外資のベンチャー的な企業、国内のベンチャー的な企業といった広範囲な企業での会社員の経験から、「結果としては、会社員としてはどんな会社でも楽しく仕事ができるし、最大級の評価もしてもらえるな」という感覚を持つようになりました。残されたチャレンジとしては「やっぱ起業しかないな」と考えるようになりました。新しいことにチャレンジしてみたいという性質が性格的にあるのだと思います。

ビジネススクールでの講師の経験

昔一緒に仕事をしていた同僚から「ビジネススクールでの非常勤講師をやらないか?」と推薦されました。当時所属していたBEAシステムズでは副業に対しても申請して問題なければやってもOKだったため、非常勤講師を始めました。講師をやっていく中で自分が担当していなくても、MBA系の科目の知識がついたり、起業家のカンファレンスなどにも出席する機会があり、起業が身近に感じるようになっていました。

起業の決断から実際の起業まで

共同創業者の金と久々にカフェでお茶を飲む機会がありました。その時、お互いに何やっているのか情報共有しました。金はベンチャー企業の取締役でスマートデバイス事業を立ちあげていました。しかし、悩みもあったようで、私の方から「それならこうしたらいいじゃない?」「これをやったら?」という感じで次から次へと話していったのですが、金が「俺もそれはわかっている。しかし出来る人がいない」ということでした。そこで、「じゃあ週末スカイプで会議をしましょう。そこで少しお手伝いをしてあげるので、うまくいったら成功報酬で売上の○○%を貰えれば良いよ。週末の時間でできることは手伝うよ」という話になりました。
そうして、二ヶ月程度、一緒に週末に仕事をしていく中で、「これは二人で会社を起こしていけるのではないか」と思うようになりました。そして、二人で起業することになったのです。

しかし、まだまだ本当にやっていけるか不安でした。二人の会社が軌道に乗るまでは、その時所属していたオラクルを辞めないでおこうかなども考えました。そこで、オラクルにも副業申請を行ないました。しかし、ベンチャー企業設立はNGとの結果になりました。「であればこの会社の年度末で退職して二人の事業一本にしよう」と決めました。退路を断った一番のポイントは「最悪、会社がすぐに倒産しても、会社員としてコンサル会社などには転職できるだろう」と思えたことです。余談ですが、オラクル退職を決めて起業一本に決断した直後、当時のオラクルの社長であった遠藤さんとランチでばったり遭遇しました。その際、「人事部が副業申請をNGにしたことも自分は知らなかった。もっと前に自分に言ってくれたら」と言われました。しかし、結果として副業申請をNGにしてくれたことが今のNCDCの発展の理由かもしれません。意思決定とはその後どのような結果を生むか本当にわからないものです。
会社登記が3月1日なのですが、会社員を退職したのが5月末でしたので、初年度はQ1は何も活動せず、Q2から活動しはじめました。創業パーティを大阪と東京で行ったのが2011年の6月でした。そこからNCDCがスタートしたのです。

この記事のまとめ

第一回のポイントをまとめると以下四点。

  • 昔から起業したいと漠然と思っていた。新卒の一社で終えるなどは最初から考えていなかった
  • 起業のための練習のごとく、新規立ち上げや上場支援といった転職を何度か行った
  • NCDCを本格展開させる前に、テスト的に週末起業っぽい機会を得て、事業性の確証を得た
  • 起業が失敗に終わっても稼げる手段があることを感じていた

次回は創業当初にやらないといけないことや必要なスキルについて書きたいと思います。

連載コラム
【ベンチャー経営2】創業時に最低限必要なこと
【ベンチャー経営3】創業初期に重要な数字とは?
【ベンチャー経営4】営業経験なしの経営者がどうやって売上を?(前編)
【ベンチャー経営4】営業経験なしの経営者がどうやって売上を?(後編)
【ベンチャー経営5】新規サービスをどう作る?
【ベンチャー経営6】新規サービスをどう作る?(その2)

最後に、NCDCのサービスについて

このコラムを読んでいる方の多くは、起業に関心があるのだと思います。
NCDCでは比較的規模の大きな企業とのお取り引きが多いので、個人向けの起業支援のようなサービスはありませんが、企業内ベンチャーや新規事業開発部門で新製品やサービスの立ち上げに取り組む方のお役には立てると思います。
新サービス開発支援のコンサルティングから、UX/UIデザイン、業務システムやモバイルアプリの開発まで、一元的なサポートが可能なので、もし新規事業に取り組むためのヒントを探してこの「ベンチャー経営コラム」に関心を持っていただいた方がいれば、お気軽にご相談ください。

※この連載コラムはNCDC創業から5年目前後の2014~2016年に書かれたものです。会社の規模やサービスも徐々に変化しており2019年現在で古くなっている情報もありますが、起業やベンチャー企業で働くことに興味がある方向けに、「ベンチャー起業創業から数年目の経営者の考えたこと、やったこと」を知っていただくヒントとして、当時の記事をほぼそのまま掲載しています。

早津俊秀

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