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システム開発

ネイティブアプリとクロスプラットフォームアプリの違い

公開 : 2022.07.22
最終更新 : 2026.04.18

本記事は、多数あるアプリ作成方法の中から最適なものを選択するためのポイントを解説していく連載記事のひとつです。

スマートフォンのアプリ開発において、ネイティブアプリとクロスプラットフォームアプリは主要な選択肢となります。
本記事では、それぞれの特徴、メリット・デメリットを比較し、最適なアプリ開発手法を選択するためのポイントを解説します。

連載記事

  1. モバイルアプリとWebアプリの比較
  2. ネイティブアプリとクロスプラットフォームアプリの違い(本記事)
  3. クロスプラットフォームアプリ開発技術の比較(やや技術者向け)
  4. Webアプリの擬似モバイルアプリ化(PWA)について

スマホで動作するアプリの全体像

下図はスマホで動作するアプリの全体像です。先の記事ではWebアプリとモバイルアプリの違いを説明しました。
本記事ではモバイルアプリというカテゴリに含まれる「ネイティブアプリ」と「クロスプラットフォームアプリ」の違いについて説明していきます。

ネイティブアプリとクロスプラットフォームアプリの違い

ネイティブアプリとクロスプラットフォームアプリの違いは、基本的には対応するOSの数の違いです。

ネイティブアプリとはひとつのOSに特化したアプリです。次の2つが代表的なネイティブアプリです。

  • iOSユーザー向けに、SwiftやObjective-CといったiOSアプリ用の開発言語でiOS専用のアプリを作成し、App Storeで配信
    (Objective-CはSwift以前の主流言語で、2026年現在新規採用されることはほぼないがレガシーなアプリでは一部に使われている)
  • Androidユーザー向けに、KotlinやJavaといったAndroidアプリ用の開発言語でAndroid専用のアプリを作成し、Google Playストアで配信

一方で、クロスプラットフォームアプリは1つの開発言語で複数のOSに向けたアプリを作成できます。
Flutter、React Native、Kotlin Multiplatform(KMP)などのフレームワークを用いることで、1つのソースコードからiOSアプリやAndroidアプリなど、複数のOSに向けたアプリを作成することができます。

この説明だけを見るとネイティブアプリより複数のOSに対応するクロスプラットフォームアプリの方が優れているように見えますが、いくつかネイティブアプリでしか実現できないこと(クロスプラットフォームアプリでは対応が難しいこと)があるので、その点を見極めて選択する必要があります。

ネイティブアプリのメリット・デメリット

ネイティブアプリのメリットとしては、「各OSの機能を最大限に使える・最新機能も使用できる」ことが挙げられます。
iOS用にはAppleが、Android用にはGoogleが提供している公式の開発言語やツールを用いてアプリを開発するネイティブアプリでは、各OSが持っている機能をアプリから正しく呼び出すことができ、高い処理性能(パフォーマンス)も期待できます。

また、最新OSがリリースされる前にベータ版として提供される機能まで使用できることもネイティブアプリの魅力です。
こうした最新の機能はネイティブアプリでしか使うことができないため、AppleやGoogleが新たにOSに組み込み始めた最新技術を呼び出して使用するようなアプリをつくりたい場合は、ネイティブアプリが第一候補となります。

一方で、iOS、Androidそれぞれに向けてネイティブアプリ作ることは、同じアプリを違う開発言語で2つ作成することを意味するため、単純計算すると開発コストは約2倍になります。保守費用なども同様に約2倍になるといえます。
優れた機能や性能が期待できる分、コストも大きくなることがネイティブアプリの大きなデメリットです。

クロスプラットフォームアプリのメリット・デメリット

クロスプラットフォームアプリのメリットは、簡単に言えばネイティブアプリのデメリットを解消できることです。
iOS、Android両OSに向けたアプリを1つのソースコードで開発できるため、それぞれのネイティブアプリをつくるのと比較すれば開発コストは大きく削減できるといえます。

また、採用する技術スタックに選択の余地があることもメリットだと言えます。
ネイティブアプリだと、iOSではSwift、AndroidではKotlinが標準となっており、開発チームのスキルセットによっては新たな学習が必要になります。
一方クロスプラットフォームでは、Flutter(Dart)、React Native(TypeScript)、KMP(Kotlin)など、開発チームの既存スキルに合った技術を選択できる点もメリットの1つと考えます。
(こちらについては次の記事「クロスプラットフォームアプリ開発技術の比較」をご参照ください)

クロスプラットフォームアプリのデメリットは、簡単に言えばネイティブアプリならではのメリットは得られないことです。
具体的には、クロスプラットフォームアプリでは「OSの機能を使用する凝ったアプリを企画しても正しく動作しない可能性がある」「OSの最新機能を動かすことができない」などがデメリットとして挙げられます。

クロスプラットフォームアプリは、1つの共通のソースコードから、iOS用とAndroid用のアプリを同時に作り出すイメージです。
もう少し詳しく言うと、iOSやAndroidがそれぞれ持つ開発言語(ネイティブコード)を直接使うのではなく、「それぞれのネイティブコードに変換できる、別の開発言語」を用いてアプリを開発しているイメージとなります。

各フレームワーク独自の仕組みを介してOS機能を呼び出すため、高度で複雑な機能を実現しようとしても、クロスプラットフォームアプリでは対応しきれない可能性があります。

クロスプラットフォームアプリに追加できるPlugin

一応、上記の問題を解消するためにPluginという機能があり、クロスプラットフォームアプリにネイティブコードを組み込むこともできます。
クロスプラットフォームアプリとして作りたいが一部機能だけはどうしてもネイティブコードでないと実現できない。という場合はPluginを検討すると良いでしょう。
ただし、Pluginが完全な解決策というわけではありません。Pluginを多用すると結局AndroidとiOS両方のネイティブコードで記載する処理が増えることになるので、クロスプラットフォームで作るメリットが薄れていきます。
「それならば最初からネイティブアプリを作った方が良かった」という事態も起こりえるので、Pluginに頼りすぎるのは要注意です。
(最近ではクロスプラットフォーム技術が成熟してきており、Pluginを使用しなくても実現ができることがかなり増えてきています。)

クロスプラットフォームアプリで操作できるネイティブ機能

先ほど、ネイティブアプリでしか実現できないことを見極めて選択する必要があると書きましたが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
続いて、クロスプラットフォームアプリでも利用できる機能・できない機能を解説します。

カメラカメラの機能は、クロスプラットフォームアプリでも基本的には使用可能です。写真撮影やフィルターをかけたりする程度はまったく問題ありません。
しかし、顔認識や画像をリアルタイムで加工して表示するなどの凝った機能が必要な場合はネイティブアプリが向いています。
マイク・オーディオクロスプラットフォームアプリでも使用可能
Push通知クロスプラットフォームアプリでも使用可能
ヘルスケア情報クロスプラットフォームアプリでも使用可能
生体認証クロスプラットフォームアプリでも使用可能
位置情報クロスプラットフォームアプリでも使用可能
Bluetoothクロスプラットフォームアプリでも使用可能
バックグラウンド処理クロスプラットフォームアプリでも使用できるが、一部機能については制約あり
位置情報取得や、バックグラウンド処理は、そもそもiOS/AndroidのOSレベルで厳しく制限されています。
その上で、クロスプラットフォームではフレームワーク側が各OSのバックグラウンドAPIをどこまでラップしているかに依存するため、複雑なバックグラウンド処理を実装したい場合はPluginでネイティブコードを書く必要が出てきたり、実現自体が難しかったりするケースがあります。
アプリ内課金クロスプラットフォームアプリでも使用可能

このように、クロスプラットフォームアプリには一部制約があるのです。

とはいえ、ほとんどの機能が「クロスプラットフォームアプリでも使用可能」なので、クロスプラットフォームでのアプリ開発は実際にかなり利用されています。
SNSや、ECアプリ、誰もが知っている大手企業の公式アプリなど、クロスプラットフォームアプリが使われている事例が沢山あります。
(SNSの例を見ると、大枠はクロスプラットフォームで作り、カメラなどのOSの高度な制御を入れたい部分だけはネイティブ機能を埋め込んで作るなど、実際の開発手法にはここで説明しきれないほどさまざまなパターンがあります)

【注意】クロスプラットフォームアプリでのネイティブ機能の利用可否を説明してきましたが、これらは更新日時点(2026年4月)の情報であり、今後対応される可能性も十分あり得ます。また、使用するフレームワークによっても対応状況に差異があるので、上記の説明が絶対的な正解というわけではないことご留意ください。

ネイティブかクロスプラットフォームか?選択のポイント

ここからは、ネイティブアプリかクロスプラットフォームアプリかで迷われている場合の、選択のポイントをいくつか紹介したいと思います。

まずは、ネイティブアプリを選択すべきケースです。

  1. OSの最新機能を使用する必要がある
  2. 画像・解析、データ解析などの計算量が多い処理を行う必要がある
  3. 高度なOS機能(AR/VR+センサーなど)を複数組み合わせて使用したい

などの条件がある場合は、基本的にネイティブアプリでつくる必要があると考えてください。

次に、クロスプラットフォームアプリを選択すべきケースです。
OSの最新の機能や複雑な処理をする必要がなく、iOS、Androidの両OS向けに提供したい場合は、クロスプラットフォームアプリが適しています。
そのようなケースではまず、クロスプラットフォームアプリでやりたいことを実現できるかを検討し、実現が難しい機能があればその部分をPlugin対応で実現できないか検討しましょう。
ただし、Pluginを多用することになるのであれば、ネイティブアプリでの開発への切り替えも視野にいれて検討をすることをおすすめいたします。

AI時代におけるアプリ開発手法選定ポイント

上記の技術的な選択観点に加えて、2026年現在のAIトレンドを踏まえた選択ポイントについても考えてみましょう。

生成AIの登場によるアプリ開発への影響

近年、AIによるコード生成・補完ツールの普及により、アプリ開発の生産性は大きく向上しています。
AIツールによる生産性や精度を向上させるためには、「世の中にどれだけ有効な情報が公開されているか」にも影響されます。

本記事で解説してきましたネイティブアプリ、クロスプラットフォームアプリについて、公開されている学習データ(世界中で利用されるIT技術のQ&AコミュニティサイトStack OverflowのQ&A数や、ソフトウェア開発プラットフォームGitHub上の各種カウント数など)を見ると、FlutterやReact Nativeといったクロスプラットフォームの情報量の方が、ネイティブ開発の主流であるSwiftやKotlinよりも多いといった結果がみられます。

例えば、Stack Overflowに投稿されたQ&A数(2020年以降の累計)を見ると、Flutterが約15万件、React Nativeが約7.6万件に対し、ネイティブ開発の中心言語であるSwift+SwiftUIは約13万件、Kotlin+Jetpack Composeは約8万件と、総合的にはクロスプラットフォーム勢の情報量が上回っています。*1

そのため、1つの側面からではありますが、現時点ではクロスプラットフォームの方がAIツールの精度が上がりやすい状況とも読み取れます。
もともとクロスプラットフォームの強みであった「開発コストの低さ」が、AI時代においてさらに強化されつつあると言えるでしょう。

ただし、そもそもネイティブでしか実現できない機能(OSの最新機能や高度な制御など)が必要なケースでは、AIツールの恩恵の大小に関わらずネイティブを選ぶべきです。
AIツールの観点は、あくまで「ネイティブでもクロスプラットフォームでも実現可能な要件の場合」における判断材料の1つとして考えるのが適切です。
AI時代において、「ネイティブにすべきか、クロスプラットフォームにすべきか」を判断する際には、このような「AIツールの影響」も押さえておきたいポイントです。

*1: ネイティブ言語でのアプリ開発の歴史は長いため、2020年以前のデータも合わせると件数はかなり増えます。ただ、SwiftUIやJetpack Composeの登場により破壊的な変更や古い情報なども多く含んでしまうため、今回は2020年以降のデータから算出しております。

開発ベンダーからの提案を受け取る際の視点

ネイティブかクロスプラットフォームかの判断は、最終的には開発を依頼するベンダーとの議論の中で固まっていくケースが多いかと思います。その際に押さえておきたいのは「ベンダー側の得意技術によって提案が偏りやすい」という点です。

Flutterを得意とするベンダーに相談すればFlutterを前提とした提案が、ネイティブ開発を主軸とするベンダーに相談すればネイティブ前提の提案が出てきやすい、という構造は十分に考えられます。これは必ずしもベンダー都合の誘導ではなく、「自社が最も品質高く開発できる技術」を誠実に提案している結果でもあります。

しかし発注者側としては、本当にその技術が自社の要件にとって最適なのかを見極める必要があります。
ネイティブとクロスプラットフォームの選択で迷っている場合は、

  • 複数の技術スタックに対応実績があるベンダーに相談し、客観的な比較を求める
  • 「なぜその技術を推奨するのか」をビジネス要件・機能要件・予算・保守計画と紐づけて説明してもらう
  • 初期開発コストだけでなく、保守・運用フェーズまで含めた中長期の総コストで比較する

といった観点を持つと、自社にとって最適な選択に近づけます。

【注意】実際にはもっと多様な選択のポイントや考慮すべき制約がありますが、この記事ではわかりやすく単純な例を用いた説明に留めています。とくにAIツールや各技術の動向は変化が早いため、検討の際は最新の状況も併せてご確認ください。

まとめ

本記事では、モバイルアプリを作る際にネイティブアプリとクロスプラットフォームアプリのどちらを選ぶべきか、選択のポイントをご紹介しました。

どの手法を採用するか正しく判断を下すためには、アプリに求める機能性、開発コスト、保守のしやすさ、技術の将来性… などさまざまな観点を持って考える必要があります。
そのため、ビジネスサイドの方とITサイドの方、両者が参加するプロジェクトチームで協議するのがお勧めです。
外部ベンダーに開発を依頼する場合は実装方式の相談にも乗ってくれるようなパートナーを選定するのが良いでしょう。

NCDCは、モバイルアプリを用いたサービスの全体像を検討するところから、アプリ開発の要件定義、UX/UIデザイン、実装まで一元的にお客様をご支援することを得意としています。
目的に応じた適切な技術の選定からご相談いただけますので、モバイルアプリの開発を検討されている方はぜひお問い合わせください

この記事を書いた人

塚本 雄人
NCDCのエンジニア。モバイルアプリのフロントエンド開発を得意とする。車載システム開発など異なる領域で得た幅広い知識と経験を活かし、プラットフォーム固有の仕様やユーザー体験を考慮した設計・実装を強みとする。

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