資料公開|DX推進のウソ・ホント 10の疑問に答える

公開 : 2021.07.01  最終更新 : 2021.09.02
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2021年6月30日にオンラインセミナー「DX推進のウソ・ホント 10の疑問に答える」を開催いたしました。
この記事では当日用いた資料を公開し、そのポイントをご紹介しています。

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DXとは

①DXはバズワードなの?​

例えば、「一人一台PCを持って仕事をする」「インターネットに接続しないと仕事にならない」「スマホは社会インフラになる」といった現在では一般的になっているようなことでも、昔はバズワードのように扱われていました。

DXも同じで、これから普及し一般的になっていく過程で「今」注目されているという状態です。

DXの本質は、デジタルテクノロジーを活用して変革を推進する、ということです。
より簡単に表現すると「考えられないくらい安く・簡単に」手に入るようになったテクノロジーを「普通に」使って、今まで「やりたくてもやれなかった」ことを企業でもやりましょう、ということです。

テクノロジーの中でも特に、以下の3つを上手に活用していくことで企業内での変革を起こせるようになります。

クラウド
SaaSベンダーがさまざまな業務システム(勤怠管理、会計ソフトなど)をクラウドで提供しているため、わざわざ自社専用に構築することなく、初期費用を抑えて、月単位の契約で、すぐに使用できます。
AIの活用においても、さまざまなモデルがサービスとして用意されているので、一から自分でモデルを生成しなくても始められます。システム構築する場合においても、非常に多種のサービスが用意されているのでそれらをうまく使えば安価にスピード感を持って開発することができます。

デバイス
スマホ、PCが安価になったことはもちろんのこと、インターネットに接続できるカメラや通信機能のついた各種センサーなどが安価にどこでも手に入ります。また、専門的な知識がなくても簡単に扱うことができるようになっています。

高速無線ネットワーク
4G、5G、Wi-Fiなど、企業の中でも自宅や外出先でも使える高速無線通信が安価で提供されています。大容量の無線によるデータ通信も速度や料金を気にせず実現できます。有線でないというとは使用性や用途が非常に広がります。

②DXの成功事例、失敗事例ってたくさんあるのか?​

DXは当たり前のことを段階的に進めている状態のことなので、成功・失敗の概念はありません。

例えば、PCをインターネットに接続すると、ウイルスの脅威に晒されることになります。しかし、だからと言って「インターネットに接続すること」自体が「失敗」ということにはなりません。脅威を低減させ、安全に使えるよう努力をすることこそが重要です。
DXも同じで、困難をいかに克服して当たり前の活動を進めていくかが大切です。

「成功」に関しても同様で、基本的には「◯◯ができたから成功」とするものではありません。
一般的には「変革」というとドラスティックに起こるイメージがあると思いますが、実際にDXに取り組んでいる企業の変革は緩やかに起こります。DXとは、継続的に取り組む中で「振り返ってみたら以前とはずいぶん変わっていた」と気づくようなかたちで進んでいく変革だと思います。

成功・失敗の概念に縛られることなく、自分たちなりのDXを継続的に進めていくという覚悟を持って取り組みましょう。

③DXをうまく推進している例ってあるの?あるならパターンを教えてほしい。​

先述した通りDXとは「◯◯ができたから成功」というようなものではありませんが、最初に挙げた3つのテクノロジー(クラウド、デバイス、高速無線ネットワーク)をうまく活用して以下のようなことができているものが、DX推進の成功パターンと言えるでしょう。

デジタルな新規サービスを生み出す
アプリを活用する、サブスクリプションのサービスを考えるなど、これまでにないことにチャレンジし、新しい収益源を創出すること

デジタル活用による業務改革
テレワーク導入、契約書の電子化、工場で画像やセンサーを活用して無人化する、データの分析と活用、など現場からの業務改革を行うこと

システム改革
情報システム部門などが、社内インフラなどのレガシーなシステムを SaaSに置き換えたり、クラウドネイティブアーキテクチャへ変えたりしていくこと

DXを実現する組織について

④専門の組織はあったほうが良いのか?

DXは単一のプロジェクトではなく変革を継続していくことです。また、実行していくことも広範囲に渡るので、組織を横断し、経営にも現場にも働きかけることができる組織が基本的には必要です。

そのため、なるべく早い段階で専門の組織を作るべきです。

⑤DXを企画・実行出来る人材が自社にいないのではないか?​

DXを推進できる人材が「社内にいない」という話も聞きますが「探せていない」だけの可能性が高いと考えています。
外部からコンサルティングの人間が来ても簡単にできるものではないので、DXを推進するコアメンバーには自社の人材が絶対に必要です。

具体的には以下のような要件に当てはまる人材に適性があるといえます。

  • 自社の強みや文化、ビジネス全般に関して体感的に理解をしている
  • 社内の組織間調整ができる

ただし、テクノロジーの部分(スキルや経験が必要な部分)に関しては中途採用や外部からの支援を取り入れることを検討してもいいと思います。

DXと人材については過去のセミナーでも詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

資料公開|DX人材はどこにいる? 新規採用か育成か、企業が取り組むべき課題とは?

その他、DX現場でのリアルな課題

他にもセミナー内では以下のような「よくある疑問」についてご紹介いたしました。
詳細は動画でご覧いただけますが、ここでは登壇内容を簡単にお伝えします。

⑥経営層がDXを理解しないとできないのでは?​
⑦社内の現場などが協力してくれないのでは?

DXの推進には経営層の理解、現場の協力、どちらも重要ですが、より強い推進力を持って進めるには着手する順番が大切です。

初期の段階では、経営層の承認が不要でなるべくすぐに効果を実感できること(現場での小さな業務改善など)に着手するのがおすすめです。

「自分たちの日々の業務に関係すること」であれば現場からの協力を得やすいですし、そこでの結果を持って経営層に理解してもらうことで、より大きな改善に取り組むことも可能になります。

⑧既存ITベンダーに相談してもなんかしっくりこない。そのままでよいのか?

DX推進の一環として何かのシステムを作る場合、これまでと同じようなものを作るにしても必要になるスキルとテクノロジーが全く異なります。そのため、既存のベンダーに依頼すると難しいケースが多いかと思います。

例えて言うなら、優秀なハンドメイド家具職人に生産工場の機械を使って家具を作るように指示するようなものです。優秀なITエンジニア、SIerであっても非常に難しいでしょう。

これまでのシステムは維持しつつ、分離しやすい一部だけ新しいITベンダーに依頼することでリスクを最小にして進めることが出来ると思います。100点ではなくても一歩前進させることがとても大切です。

⑨PoCは意味がないのか?

PoCは事業リスクを減らすために非常に大切なプロセスです。
安く、簡単に手に入るようになった今のテクノロジーを使えば、コストをかけずに小さく検証をはじめることができるので、サービスの有用性や技術的な実現可否の検証が必要そうなケースでは、基本的にはPoCを実施する事をおすすめします。

もしPoCばかりやって事業そのものがうまく進んでいないのであれば、PoCを始める時点での企画に問題がある場合がほとんどです。何を検証するのかしっかり定義してから進める必要があります。

⑩DX企画推進は誰に頼めばよいのか?

できれば社内の人材を中心にDXに取り組むのが良いですが、外部から中途採用したり、コンサルタントなど外部の支援者を探したりするのであれば「DXの企画を推進・実行」したことがある人、少しでも経験がある人を探すとよいでしょう。

DXの経験者は少ないと思いますが、「新規サービスの立案に成功したことがある」「業務プロセスに詳しい」という経験や知識だけで判断してDXの企画推進を任せてしまうと、活躍するのは難しいと思います。
「新しいデジタルテクノロジーをうまく使って…」という視点が入っていない人選は、⑧で例にしたように、ハンドメイドの職人にいきなり高度な生産設備を用いた改革を強いるようなものです。

質疑応答

本セミナー開催中にいただいた質問をご紹介させていただきます。

  • 新しくものを作ろうとしているが、既存の価値観や固定概念にとらわれてしまい、今の延長上でしかなく、現在の悪いところの改善にしかなっていない。革新的な一歩を踏み出すには、どのように進めていくのが良いか?

まずは以下の3つの意識を合わせていくことがポイントになると思います。

①時間軸をどう捉えるか(新しいものをいつ作り出すのか?)
②どこで戦うのか(既存領域?新規領域?)
③ニーズをどう捉えるのか(今の延長?全く新しいこと?)

例えば新しい領域で戦うにしても自社のノウハウを生かせる別の市場でニーズを捉えて戦うことをおすすめします。

また、新しいことを始める時には「なぜその事業を自社がやるのか」というストーリーがないとうまくいきません。そういった側面からも、DXを推進するコアメンバーは自社をよく知る社内人材から探してくることをおすすめします。

その他、以下のような質問が講義中にあり、講師が丁寧に回答していました。

  • なぜ一部(多数)の経営者の中にDXはIT部門のミッションというような考え方が広がるのか?
  • DX推進するにあたりコストを求められる。ただ投資対効果が出しづらいこともあると思うが、DXの費用は研究開発費用として計上するのか?
  • 上流工程の段階で、外部リソースが導入された場合には彼らに何を期待すべきか?
  • DXを検討する上で将来の技術発展を期待して進めるべきか?

アーカイブされているセミナー動画でご確認いただけますので、ぜひご覧ください。

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NCDCではDXコンサルティングからアプリの企画・開発まで幅広くサポートしています。DX推進のためにまず何から取り組むべきかというような初期のお悩みから、業務用アプリの開発など具体的なプロジェクトまで、DXに関するご相談がある方はぜひお問い合わせください
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