新規事業の立ち上げを成功させる「コンサル活用法」とは?

公開 : 2020.07.30  最終更新 : 2021.08.16

新規事業の担当者には「外部の専門家の力を借りたいけれど、どこへ依頼すべきかわからない……」というお悩みを持っている方も多いと思います。
そこで今回は、「新規事業に必要なリソースとは?」「コンサルタントの活用で注意すべきポイントは?」などをわかりやすく解説します。

新規事業検討の全体像を知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
DX時代に必要な新規事業とは? 検討プロセス&フレームワークを一挙紹介!

新規事業に必要なリソースとは?

新規事業におけるリソースは、突き詰めれば4つに集約されます。

  • ヒト(人材・外部パートナー)
  • モノ(設備・土地・知的財産など)
  • カネ(経営資金・株式など)
  • 情報(ノウハウ・競合の戦略など)

この4つの要素の中でもデジタル時代において特に大切なのは、「ヒト(ITスキルを持った人材)」と「情報」だといえます。
新規事業に適したITスキルを持った人材が都合よく自社にいるものではないと思われますので、これらのリソースが足りない場合は、外部を頼ることが必然的な流れだといえるでしょう。

新規事業を立ち上げるプロセスとは?

それでは、リソースが新規事業の立ち上げにおいてどう活かされるのか。次は立ち上げのプロセスを見てみます。

プロセスは大きく「7段階」に分かれる!
  1. 市場・ニーズなどの分析
  2. アイデアの発案
  3. 事業計画の構築
  4. 事業性の評価
  5. 必要な人材・資金・システムの確保
  6. 商品開発・サービス化
  7. 評価・改善

以上が、新規事業を立ち上げる基本的な流れです。この各プロセスにおいて、ヒト・モノ・カネ・情報をうまく活用する必要があります。

プロセスを効率良く回す「リーン・スタートアップ」

最新のデジタル技術が次々に登場している昨今、今日新しかったものが、明日も新しいとは限りません。つまり、新規事業の立ち上げに求められるのも、何よりスピードです。
それをひとことで表したのが「リーン・スタートアップ」(Lean=素早い、Start-up=起業)です。小規模・最小限のリソースやコストで、効率良くプロセスを回し、結果を検証して、改善していく。そうした姿勢が何より必要なのです。
新しい取り組みの成功確率を上げる「リーン・スタートアップ」

新規事業で陥りがちな“失敗例”とは?

プロセスや必要なリソースは知っていても、知識だけでものごとは思うようには進まないものです。ここで起りがちな失敗をご紹介します。

その1:企画が曖昧なまま突き進んでしまう

企画の精度を高めるため、「3C」や「SWOT」などの分析フレームワークが使われます。しかし、「知識はあるものの実践で使ったことはない……」という方も少なくありません。
市場や顧客のニーズについて分析が足りないままサービスを開始し、いざフタを開けたら思わぬ問題に直面して頓挫した、という事態は避けたいものです。

その2:チームメンバーの情熱が消えてしまう

新規事業の多くは成果がすぐに出るわけではありません。失敗と改善を繰り返しながら軌道に乗せていくものです。しかし、その間に担当者が異動になったり、資金的に継続が難しくなったりして、いつの間にか新規事業への情熱が失せていくケースもあります。
失敗する可能性も大きい新規事業だからこそ「長期的に腰を据えて取り組む」という覚悟が、何より必要だといえるでしょう。

その3:ITに関するノウハウが足りていない

AI・IoTなどの流行りの技術を取り入れて新規事業に取り組むケースはとても多いです。しかし、そもそもそうした技術に対する知識が足りておらず、どうサービスに落とし込むのが最適なのか、技術の使い方がわからないというケースもあるでしょう。事実、技術は日進月歩であり、イチから学ぼうと思っても簡単に追いつけるものではありません。
専門外でわからない部分に関しては思い切って外部のプロを頼ることも、新規事業の成功には欠かせないといえます。

新規事業を自社だけで成功させるのは難しい?

このように新規事業を自社だけで完結させようとすると、さまざまな落とし穴に出くわします。実際、新規事業の成功率は「1000社いたら3社しか生き残れない」ともいわれるほどで、失敗のほうが圧倒的に多いと認識しておくべきでしょう。
それだけ難しい新規事業の立ち上げを、ノウハウをあまり持たない社内のリソースだけでやろうとするのは至難の業です。だからこそ、コンサルタントをはじめとする専門知識を持った外部のプロを頼るメリットは非常に大きいのです。

最近は大手企業が持つ資産とスタートアップ企業の持つ先進的な技術をお互いに活かし合う「アクセレータプログラム」の仕組みもあり、自社にないリソースを協業によってうまく補うというやり方も一般的になってきています。
【事例】NCDCが関わったアクセレータプログラムによるAI活用の新規事業

知っておきたい「コンサルタント」の役割

新規事業の相談をする“外部のプロ”と聞き、真っ先に思い浮かぶのはコンサルタントだと思います。ここではその役割を、「創出フェーズ(アイデアを出して計画を練る)」と「実行フェーズ(事業を軌道に乗せていく)」に分けてご紹介します。

まず創出フェーズでコンサルタントは、企業の強みを正しく見極め、それをどう新規事業に落とし込むか考えます。熟練のコンサルタントには多くの新規事業を経験してきた豊富な実績があるため、他業界の成功例・ノウハウもデータとして提供できる場合があります。

また実行フェーズでは、サービス・商品をリリースするための地固めを行います。具体的には、人的リソースの配置を決めたり、顧客の開拓についてアドバイスしたり、ITシステム・アプリの開発をしたり、ときには協力企業を見つけ、資金援助の契約を行うこともあります。まさに新規事業を“パートナー”として支援する存在です。

コンサルタントの種類ってどれくらいあるの?

デジタル技術が日々新しくなっている今、コンサルタントが網羅すべき幅も広がっています。最近では特定のデジタル領域に特化したコンサルタントや、大手コンサルタント内でデジタル領域だけを扱う専門部隊も現れています。

主なコンサルタントの種類
  • 戦略系コンサルタント
    主に大手企業を対象に、事業戦略の策定などを行います。グローバルな顧客を持つ外資系企業が多いです。
  • IT系コンサルタント
    IT・Webを専門とするコンサル会社。事業立案からシステム実装、場合によっては保守作業まで手がけます。
  • シンクタンク
    政治、経済の専門家が集まり、研究・調査を行う組織。基本的には、社会問題や政治問題への提言・経済調査を手がけており、経営戦略立案、業務改善、組織人事、ITコンサルティング、システム構築など、さまざまなサービスを提供しているコンサルタントです。多くの場合、銀行や証券会社など母体となる組織を持っています。
  • 中小企業コンサルタント
    主に中小企業を対象に、顧問型のコンサルティングを行い、人事・労務など現場に深く入り込んだ細かい面から業務改善を目指します。また、社員教育やセミナーの開催などを行う場合もあります。

また契約の仕組みもコンサルタントやプロジェクトによって異なり、「業務委託(月額などで支払う)」「プロジェクト型(成果物に対して支払う)」「出資(共同で出資して進める)」などのかたちがあります。

コンサルタント選びの“ポイント”、正直にお伝えします

ここからは、コンサルタントの選び方を「7つ」のポイントに分けてご紹介します。やや多いかもしれませんが、新規事業の命運をかける大切なパートナー選び。適切なパートナーを決めることは、成功への近道でもあるのです。

ポイント1:具体的なアイデアを出してくれるか

ありがちなのは、コンサルタントが豊富なノウハウで市場・顧客のニーズを分析してくれるものの、具体的なビジネスアイデアは出さないケースです。
この場合、膨大な資料だけ渡されて、何となく満足した気になってしまいますが、本当に大切なのはその先です。だからこそ一緒にアイデアを考えて、企画から実現まで並走してくれるコンサルタントなのかどうかを見極めましょう。

ポイント2:立ち上げプロセスに再現性はあるか

コンサルタントの提案する情報・アイデアに「再現性」があるかもポイントになります。というのも、せっかく過去の成功事例などの豊富な知見を活かした具体的なアイデアを出してもらっても、再現性がないゆえに頓挫しては意味がないからです。
「実行まで見据えて計画を練ってくれるか?」「仮説・検証を行ってくれるか?」も、事前に確認するようにしましょう。

ポイント3:コンサルタントが経験不足ではないか

よく「新規事業のコンサルタントが自分で新規事業を起こしても成功しない」といわれます。その点、新規事業を自分で立ち上げた経験があるコンサルタントは、意見にも重みがあります。データ分析力や知識だけでは気づけない失敗のリスクもカバーし、アドバイスをくれるでしょう。
そのため、担当コンサルタントの経歴も確認しておきたいところです。コンサルタントは経歴を紹介しているページがあるはずなので、事前に目を通すようにしてください。

ポイント4:IT・デジタル分野の理解があるか

“DX時代”といわれる、デジタル分野の進化がめざましい昨今。もはやITの活用なしに新規事業を成功させるのは難しいといっても過言ではないです。そこでチェックすべきは、コンサルタントがAI、IoT、クラウドなどのデジタル分野に明るいかどうかです。
新規事業に適した最新技術に明るいデジタル人材は社内で確保するのは難しいケースがほとんどだと思われるので、最も重視したい点です。

ポイント5:「スキル移管」をしてくれるか

コンサルタントの活用方法として「丸投げして全部やってもらおう」という姿勢はおすすめしません。なぜならノウハウが自社に蓄積されず、いつまでも頼りきりになってしまうからです。
コンサルタントが一緒に事業を育てながら、豊富な知識・スキルを自社に移管してくれる。そのような会社を選びましょう。

ポイント6:デザインやUXへの理解があるか

「モノからコトへ」ユーザーが重視する価値がシフトしてきた現在、UX(User Experience:ユーザー体験)を意識した企画は欠かせません。「デザイン思考」や「UXデザイン」から導き出されるビジネスアイデアは、ユーザーに愛されるサービスを生み出します。

ポイント7:仮説・検証・実装まで支援してくれるか

これもありがちですが、「ビジネスアイデアは出したので、実行は自社でやってください」というケース。これでは実行フェーズから別の会社に依頼せざるを得なくなり、アイデアから実行への分断が生じてしまいます。
そのため、アイデア創出から仮説・検証、さらには事業に必要なシステムがある場合は実際のシステム開発までサポートしてくれる会社がベストでしょう。

まとめ

新規事業の立ち上げにあたり、「市場を把握し、熱意を持って取り組むこと」。この部分は、事業継続のコアとなるのでできるだけ社内の人材で担うべきです。

しかし、次々と新しいテクノロジーが誕生するこの時代に、自社の人材とノウハウだけで新規事業を成功に導くのは難しいものです。
コンサルティングを好まない方もいますが、最新の技術を有効に活用しながらスピーディーに事業の立ち上げ・改善を進めるためには、外部リソースを頼ることもひとつの方法です。ぜひ専門知識を持った外部のパートナー活用も検討し、新規事業の立ち上げを円滑に進めてみてください。

NCDCでは、デジタル時代の新規事業立ち上げに欠かせないさまざまなサービスを提供しています。

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