デジタル時代を勝ち抜く新規事業のアイデアとは?|2020年 保存版|

公開 : 2020.07.29 

「新規事業の立ち上げを任されたけれど、アイデアってどうやって出すの……?」
そんなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

優れたアイデアで事業を成功させた事例を知ると、新規事業は発想力勝負というイメージを持つかもしれませんが、何となくの発想で事業を成功させるのは至難の業です。
「事業として成立するアイデア」を出すには、発想方法を知っておくことも大切です。そこで今回は「新規事業に適したアイデアは?」「便利な発想法とは?」など、知っておきたい情報をわかりやすく紹介します。

新規事業検討の全体像を知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
DX時代に必要な新規事業とは? 検討プロセス&フレームワークを一挙紹介!

新規事業において“価値”のあるアイデアとは?

前提として新規事業の成功率は低いことを知っておく必要があります。新規事業とはそもそも失敗のリスクと常に隣り合わせなものなのです。
では、「新規事業において本当に“価値”のあるアイデアとは何なのか」。その基準をまず確認しておきましょう。

新規性(新しく独創的なアイデアか)

まずひとつの基準となるのが、そのアイデアの新規性です。
新規事業といっても、多くの場合は世の中に類似商品・サービスが存在しているはずです。だからこそ、独創的な要素を加えた新規性の高いアイデアに価値があるといえます。なぜなら既存の商品やサービスとの差別化要素が少ない場合、レッドオーシャン(飽和状態)の市場に巻き込まれる可能性もあります。もちろん、営業力や価格勝負で勝てるという算段がつけば競争が激しい市場で勝負に出ることもあるでしょうが、その場合企業規模が大きい競合が参入してきたら一気に差をつけられるリスクもあります。そのため、競合他社のいない、あるいは少ない市場で戦える新規性のある(すぐには真似できない独創的な)事業アイデアは貴重なのです。

解決性(顧客の悩みを解消できるか)

続いては、顧客の悩みを解決できるかどうかです。
世の中には、多くの「不」(不満、不安、不便……)が溢れています。こうした「不」を解消できるアイデアこそ、欲しがられるアイデア=成功につながりやすいアイデアです。事実、失敗した事業の多くが「目新しく、革新的な商品やサービス」という触れ込みでスタートし、実は「誰も欲しがっていなかった(No one needs)」という状態に陥っています。

収益性(安定して利益を得られるか)

新規事業を育てていくうえで肝心なのが、マネタイズできるかどうかです。
「誰かのために役立っている」という社会性も大切ですが、それだけでは事業が立ちゆかなくなってしまいます。新規事業のアイデアを出す際は、必ず「安定してお金を得られる仕組み」もセットで考えましょう。

アイデアを出す前にすべき“2つ”のこととは?

新規事業において“価値”のあるアイデアの基準を把握したら、次にアイデアの出やすい頭になっているのかを確かめておきましょう。これからアイデア出しに取り組む方は打ち合わせ前の“準備体操”の意味で、ぜひお読みください。

事業アイデア出しの準備(1)理想の未来を思い描く

新規事業にふさわしいのは「誰かに欲しがられるアイデア」です。つまり自分自身も、「こんな未来になったら良いな」「こんなサービスがあれば便利だな」と思い描くことが大切です。そこから逆算して今すべきことを考えると、ビジネスアイデアを見つけやすくなります。
会議の時だけ考えるのではなく、普段から理想の未来を想像する習慣を身につけておくことも、新規事業のアイデアを生む近道なのです。

事業アイデア出しの準備(2)新規事業の目的を知る

新規事業の目的がハッキリしないまま、ただアイデアを出そうとしてしまうこともアイデアが出にくくなる原因のひとつです。実際「何か新規事業を立ち上げて」といわれるのと、「既存事業との相乗効果を生み出したいから、主婦層が利用する便利なアプリを考えて」といわれるのでは、後者のほうが取り組みやすいはずです。
まずは新規事業の目的を関係者間ですり合わせておきましょう。

いざアイデア出しへ!発想を生み出す方法を紹介

ここまでで新規事業のアイデアを生み出す準備が整いました。ここからはアイデアを生み出すときの、“とっかかり”になる考え方やヒントを紹介します。ぜひアイデア会議などが煮詰まったら、ここに立ち返ってみてください。

自社の既存事業にとらわれない

大手・老舗企業にありがちな落とし穴が、「既存事業」との関係性ばかりを気にしてしまうことです。
確かに既存事業をベースにするのもひとつの手ですが、新規事業に取り組む意義は、多くの場合「既存事業以外の収益源を生み出すこと」ではないでしょうか。既存事業との連携を図ることは後からでもできるので、アイデアを生み出す段階ではあえて自社の既存事業から離れることを意識して、他業界の事例・ノウハウなどを参考にしてみるのも大切な姿勢のひとつです。

何気ないものを組み合わせてみる

世の中のヒット商品・サービスを見てみると、案外何かの“掛け合わせ”であることに気づきます。
例えば、「ポテトチップス×チョコレート」「スマートフォン×腕時計」「映画×インターネット配信」……など、枚挙に暇がありません。ゼロベースで考えるのではなく、身の回りのものを組み合わせてみる。これも発想の近道です。

目線を変えてみる

人々の共感を得られて、なおかつ目新しく印象に残る。そんな言葉を考えることを仕事としている広告代理店のコピーライターは、よく目線を変えてキャッチコピーを生み出します。例えば「もし主婦がこの商品を使ったら何というだろう?」「もしペットを飼っている人だったら?」……など、さまざまなユーザーを想定するのです。
新規事業もさまざまな消費者の目線で考えてみると、意外なアイデアが浮かぶことがあります。

新規事業のアイデアを生み出すフレームワーク3選!

新規事業のアイデアを生み出せる数は、どうしても人によって差が出てしまいます。もちろん数がもっとも大切なわけではないですが、検討の過程ではまずアイデアを数多く出そうというシーンもよく出てきます。
そこで「これに当てはめれば発想がスムーズに出てくる」という、便利なフレームワーク(発想法)を3つ、紹介します。

ブレインストーミング

ブレインストーミングとは、アメリカの広告会社で副社長を務めたアレックス・F・オズボーン氏の考案した発想法です。ルールはシンプルで、参加者が順番に発言を繰り返し、それを1枚ずつ紙に書き出していきます。
大切なのは「絶対に他のメンバーの意見を否定しないこと」「必ず何か発言すること」、そして「思いついたことを自由に発表すること」です。3巡目まで終えたところで、出てきたアイデアを見ながら関連性を導き出します。
ブレインストーミングの魅力は、否定されることがないので、自由な発想がしやすく、全員が発言することで多種多様なアイデアが出ることです。さらには、「他の人のアイデアに関連させて発言しよう」と、相乗効果で発想を生み出せます。アイデア創出の初手としてぜひ試していただきたい方法です。

KJ法

KJ法とは、地理学者、文化人類学者の川喜田二郎氏が考案した、アイデアを「拡散」から「収束」へつなげる発想法です。
まずブレインストーミングで書き出したアイデアのカードを机に広げ、似たようなカードを重ねてグループを作っていきます。そして、最終的にある程度のグループができたら、各自それぞれのアイデアを図解化し、それぞれのグループを採点(1人5点満点が目安)する方法です。
KJ法のメリットは、アイデアを可視化できることです。さらに少数派の意見であっても多数派と同じように扱われるため、発言者によって差が生まれません。順番としては、ブレインストーミングの次に行ってください。

オズボーンのチェックリスト

オズボーンのチェックリストは、「ブレインストーミング」を提唱したオズボーン氏によって考案された発想法です。他業界の事例・アイデアを新規事業に応用することを目的とし、具体的には下記9つの項目を埋めていきます。

  1. 転用(他に使用シーンはないか)※例:余った炭を「トイレの消臭用」に使った
  2. 応用(似たようなモノはないか)※例:サブスクリプションの仕組みを「洋服」に応用した
  3. 変更(色や音を変えたらどうか)※例:ランドセルの色にピンク・緑を追加した
  4. 拡大(大きくしてみたらどうか)※例:「文字サイズ」を大きくして高齢者向けスマホを作った
  5. 縮小(小さくしてみたらどうか)※例:デジタルカメラを「超薄型」にした
  6. 代用(他のもので代用できるか)※例:お茶碗で食べる「お米」のような野菜を開発した
  7. 置換(入れ替えてみたらどうか)※例:売上の低迷しているお菓子を「レジ横」に配置換えした
  8. 逆転(立場を逆にしたらどうか)※例:コーヒーとミルクの「割合」を逆にしてみた
  9. 結合(一緒にしてみたらどうか)※例:腕時計と音楽プレイヤーを「組み合わせ」てみた

こうして実際に成功した他社の事例を書き出してみることで、思わぬアイデアの手がかりになることがあります。もし打ち合わせが煮詰まってしまったときは、ぜひこの項目に当てはめて、発想のヒントにしてみてください。

外部の力を借りてアイデアを生み出す方法とは?

たとえ方法論を知っていても、いざ実践となると、自社だけでスムーズにアイデアを考えるのは難しいかもしれません。そこで、活用すべき外部のリソースも紹介します。

セミナー

外から発想を得る手段のひとつとして、さまざまな企業が主催する「セミナー」が挙げられます。最近では「オンラインセミナー」も増えており、ネット環境さえあれば好きな時間に視聴できるのでとても便利です。「イチから体系立てて新規事業について学びたい(その時間もある)」という人には、おすすめの方法です。

コミュニティ

新規事業担当部門にはそう多くの人数がいるわけではなく、自分たちだけで手探りのなかでアイデアを出さなければならないので大変です。だからこそ、企業の枠を超えて新規事業の担当者や起業家などが集まる「コミュニティ」を作るケースも増えてきました。
こうした場所ではSNSでの情報共有やディベート、勉強会などが行われており、自社内では得られない横のつながりを得ることにも役立つので、参加してみてもよいでしょう。

コンサルタント活用

既存事業に関連する領域の新規事業であれば、現場の社員だけでもスムーズに進められるかもしれません。ですが、まったく新しい分野に手を伸ばすケースでは外部の知識や経験が必要になることも多いでしょう。
特に現代の新規事業にはAIやIoT、またはスマホをはじめとしたスマートデバイスなど、最新のデジタル技術を何かしらのかたちで活用するケースが多いため「今やろうとしている事業は、最近のIT技術で実現できるのか、また開発にどれだけ予算がかかるのかわからない」という悩みは多いようです。また「他業界の成功事例を知りたい」と思うこともあるでしょう。そんなときに最適なのがコンサルタントに依頼することです。

コンサルタントは新規事業立ち上げに関する豊富なノウハウを持ち、アイデアの創出から親身に相談に乗ってくれます。デジタル系に強いコンサルファームであれば、アイデアをさらに具体化し、事業に必要なシステムのプロトタイプ開発から、実際のサービス運用まで伴走することも可能です。
特に新規性が高くデジタルとの親和性が高い新規事業に取り組む場合は、外部のコンサルタントを活用することは、スピーディーで効率が良く、成功につながりやすくなるでしょう。

まとめ

新規事業のアイデアを生み出す方法について、紹介してきました。
とはいえ、いざ実践となると知識だけでは対応が難しい場面も出てきます。その際はコンサルタントにアイデア出しから相談に乗ってもらうのも有効です。NCDCでは、お客様と並走しながら新規サービスの立案・検証をサポートする新規サービス実現コンサルティングや、短期間に新規サービスの立案方法を学んでいただく新規サービス立案ワークショップなどのサービスを提供しています。
こうした外部のプロも活用しながら、新規事業を成功に導いていただければと思います。

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