認定スクラムマスターの局です。
NCDCは、新規性が高い先進的なプロジェクトに関わることが多いため、変化に柔軟に対応しやすいアジャイル開発を採用することが多く、実績を豊富に有しています。
実際に「ユーザーから随時フィーバックを受けて、スピーディーに改善しながらシステム開発を進めたい」という目的を持ったお客様からアジャイル開発の知見や実績を評価されて、NCDCをパートナーに選定していただいたケースもあります。
事例|アジャイル開発で、UX重視の鉄道車両メンテナンス支援システムを構築
アジャイル開発の中でも「スクラムのフレームワークを用いて開発したい」「スクラム開発のノウハウやスキルを自社のメンバーにも学習させたい」といったお問い合わせが近年増えているため、本記事では、NCDC社内で行なっているスクラム勉強会についてご紹介します。
目次
スクラムをスクラムで学ぶとは?
NCDCスクラム勉強会は、初学者はスクラムを理解することを、経験者はより深くスクラムを理解することを目的として行っており、スクラムの基本を体験できる実践的なプロジェクトを通して皆で学習を進めます。
簡単にいうと、スクラム開発の勉強をするチームをつくり、スクラム開発に則った進め方で学んでいきます。
「NCDCスクラムガイドを作る」スクラムの例
2024年に行った勉強会のひとつは、「NCDCスクラムガイド」というドキュメントをまとめる作業をスクラム開発方式で行うというものでした。つまり「NCDCスクラムガイド=プロダクト」という位置付けで、複数回のスプリントを繰り返し行うことでこのプロダクトをつくっていくというプロジェクトです。
プロダクトビジョンの策定
この勉強会は「NCDCをスクラム開発が得意な会社にする」というミッションを掲げ、参加者を募集しています。参加者はこのミッションの下にさまざまな課題を投げかけ、スクラム勉強会の中でアウトプットするプロダクトビジョンを策定します。
このケースでは、プロダクトビジョンを勉強会参加者で考えて「NCDCスクラムガイドを作る」としました。公式のスクラム知識体系である「スクラムガイド」をベースとして、NCDCの働き方に合わせた独自のプレイブックを作るということを意味しています。
バックログ(課題)の積み上げとスプリント消化
プロダクトビジョンが決まったら、その達成に必要な機能を課題として積み上げ、一定期間(スプリント)で消化していきます。
具体的には以下のようなバックログが作成されました。
スプリント0(準備フェーズ)のバックログ
- レトロスペクティブの実施
- チーム名の決定
- プロダクトバックログの作成
- スプリントプランニングの実施
- プロダクトゴールの作成
- プレイブックの作成
スプリント開始前のスプリント0では、スクラムの基礎的な用語やイベントの目的の理解をすることを目指しました。
スプリント1以降のバックログ
- プロダクトバックログの書き方の検討
- お客様がプロダクトオーナー、NCDCがスクラムマスターの場合で進めるのが難しかった点を洗い出す
- アジャイル開発におけるそれぞれの役割と仕事と必要な体制をスライド1~2枚でまとめる
スプリント1以降は、実際にプロジェクトを進める中で相対した課題やノウハウをドキュメントにまとめることに取り組みました。
交代でPOとスクラムマスターを経験する
本来のスクラムでは、PO(プロダクトオーナー)やスクラムマスターが頻繁に交代することはできませんが、この勉強会ではスプリントごとにPOとスクラムマスターの役割を交代しながら行います。
勉強会には「NCDCをスクラム開発が得意な会社にする」というミッションがあるので、勉強会参加者がそれぞれの役割を体験してみて経験値を増やすためにこのような進め方を取り入れています。
スクラムイベントの実施
スクラムのフレームワークには以下のようなイベントを実施することが定義されています。
- スプリントプランニング:スプリント内で実施するバックログの計画、見積をする
- デイリースクラム:日々のタスクを振り返る
- バックログリファインメント:積んでいるバックログの優先順位の整理
- スプリントレビュー:スプリントで消化したバックログに対してのレビュー
- レトロスペクティブ:スクラムを改善していくための反省会
しかし、この取り組みは有志による社内勉強会であり、通常業務に影響が出るほど頻繁にイベントを実施するわけにはいきません。そのためスプリント期間は1ヶ月として、1週間に一度、1時間程度のタイムボックスの中で上記のイベントを消化することとしました。
スプリント期間を1ヶ月と長く設定しているため、本来はデイリースクラムとしてやることがウィークリースクラムに代わりますが、デイリースクラムと同じように、その1週間でやるべきことを振り返る時間として行います。
例えば、4週間のスプリント期間を設ける場合、以下のようなスケジュールで実施しています。
1週目
- スプリントプランニング
- バックログリファインメント
2週目
- デイリースクラム(1週間に一度なので実際はウィークリースクラム)
- コワーク
3週目
- デイリースクラム(1週間に一度なので実際はウィークリースクラム)
- コワーク
4週目
- スプリントレビュー
- レトロスペクティブ
スクラム勉強会の成果
この一連の勉強会を通じてNCDCスクラムガイドをつくっていき、実際にドキュメントはできあがりましたが、成果としてはドキュメントそのものよりも各自がスクラムを体験することで理解を深めることの方が大切です。
そのため、NCDCスクラムガイドができた後もこのようなスクラム勉強会の取り組みを継続しており、社内のスクラムへの理解浸透、また、次のPO、スクラムマスターとなるべき人材の育成をしています。
別の期間に行った勉強会では社員の休暇取得の申請フローの改善を題材として取り扱い、実際に新しい申請フローを社内に展開することもできました。このようにスクラム勉強会を継続することで、社内に役立つものを提供することもできています。
アジャイル開発のご相談はNCDCヘ
NCDCでは、アジャイル開発の学習を積極的におこなっており、お客様のアジャイル開発プロジェクトをサポートする際には自社で保有するノウハウの提供も含めて、多面的な支援を行っています。
具体的な開発プロジェクトのパートナー探しをされている方から、この記事でご紹介したような「スクラムを学ぶ」方法を知りたい方まで、アジャイル開発関連のご相談がある方はお気軽にお問い合せください