アジャイルにおける「要求」確認のポイント(NADP解説)

公開 : 2021.05.27  最終更新 : 2021.11.16

Scrum Inc.認定スクラムマスターの局です。

一般的なアジャイル方法論やスクラム開発のプラクティスをベースとしつつ、NCDCのこれまでの経験を取り入れた独自の方法論「NCDC Agile Development Process」の概要を全6回に分けて説明します。

NCDC Agile Development Process(NADP)解説記事
キックオフ(Kick-off)
要求(Requirements)←本記事
デザイン(Design)
スプリント計画(Sprint Planning)
開発(Development)
総合テスト(System Testing)

今回は要求の整理についてです。
皆さんはアジャイル開発のプロジェクトで出てきた要求をどうまとめているでしょうか? 業務フローを整理し、シーケンス図や機能一覧を作成することが多いのではないかと思います。

NCDCでは多くの場合、ユーザーストーリーを整理した後、ワイヤーフレーム先行で要件をまとめていきます。
なぜかというと、文章だけの要件定義だと三者三様のイメージを持ってしまいがちで、実際の画面が出てきた際に「思っていたのと違う」という意見が出て手戻りが発生してしまうリスクがあるからです。
「見える」アウトプットとしてワイヤーフレームを用いることで、プロジェクト関係者が早期に画面のイメージまで共通の認識を持つことができます。

「要求」確認の要点

プロダクトで求められる要求を整理しプロダクトバックログを作成します。
プロダクトバックログを元に開発範囲や優先順位、初期工数(初期見積)を発注者と合意します。

NCDCの要求整理手法

次にNCDCが用いている要求整理のステップを解説していきます。

プロダクトバックログ(ユーザーストーリー一覧)作成

プロダクトで求められる要求を整理しプロダクトバックログを作成します。このプロダクトバックログを元に開発範囲や優先順位、工数(見積金額)を発注者と合意します。

ユーザーストーリーとは、何ができるようになりたいのかを顧客や利用者目線で簡潔に記述したものです。ユーザーストーリーを一覧化したリストをプロダクトバックログと呼びます。

画面遷移図作成

プロダクトバックログに記載されたユーザーストーリーに係る画面遷移がわかる資料を作成します。

全画面のワイヤーフレーム定義

前のステップで定義した遷移図にある各画面の構成要素を定義します。
ワイヤーフレームをもとに発注者と仕様の認識を合わせ、画面仕様書の作成を行うため、その目的が達成できるレベルで記述されていることが重要です。
ワイヤーフレームがなくても画面仕様定義ができる画面は作成必須ではありませんが、仕様の認識合わせの観点から全画面作成することが望ましいです。

画面仕様定義

画面の構成要素ならびに、アクションの定義を記述したドキュメントを作成します。

外部システムへの要求事項一覧

外部システムとの接続がある場合は、このフェーズで外部システムに対する要求事項の概要を定義します。
連携するシステムごとに以下の観点で要求事項を整理します

  • 処理の方式(リアルタイム/バッチ)
  • 連携する情報の概要
非機能要件定義

非機能要件は以下の観点で定義します。

  • 可用性
  • 拡張性
  • 運用・保守性
  • 移行性
  • セキュリティー

特に重要だと感じるポイント

機能一覧や各画面の仕様確認だけでなく、ワイヤーフレームの段階でプロトタイピングツールを使った画面遷移の確認なども行うことをお勧めします。
せっかくワイヤーフレームを用いて合意を得ても、画面単位の構成要素しか確認していない場合、後で「このボタンを押した時の動作がイメージと違う」という不満が生じてしまうことがあります。プロトタイピングツールを用いて、各ボタンを押すとどういうアクションになるのかまで合意を得ておくとこうしたトラブルを回避できます。

非機能要件は見落とされがちですが、よく検討せずに開発を進めてしまうと後から大きな手戻りを招くことがありますので、これもしっかりと要求を整理しておくことが大切です。
わかりやすい例を挙げると、動作環境の確認をせず開発に着手した結果、「顧客が使う端末やOSが開発側の想定と全く異なっていてやり直しになる」というような問題が起こり得ます。

アジャイル開発に取り組みたい方、改善したい方へ

今回の記事では「NCDC Agile Development Process」に関して、「要求」フェーズの説明をさせていただきました。

NCDCでは「NCDC Agile Development Process」をベースに、これからアジャイル開発に取り組みたい方や、既存のやり方を改善したい方へのご支援を行なっています。
アジャイルを用いた開発案件の依頼先をお探しの方、または自社でアジャイル開発体制を構築したい、改善したいといったご相談がある方は、お問い合わせフォームからご連絡ください

また、ご希望の方には資料も配布しております。
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