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データ分析とは? 生成AI時代の実行プロセスと、外注で失敗しないための注意点

公開 : 2020.12.10
最終更新 : 2026.06.03

こんにちは。NCDCアーキテクトの島田です。

世の中でDX(デジタルトランスフォーメーション)が語られるようになって久しいですが、昨今の生成AI(LLM)やAIエージェントの爆発的な普及により、データ活用のあり方はさらに大きな転換期を迎えています。

組織の上層部から「溜まっているデータをAIで分析せよ」「生成AIを使って何か新しいビジネスを考えろ」といった、以前にも増して抽象度の高い要求が出され、現場が困惑している……という話を今もよく耳にします。

このコラムでは、最新のテクノロジー環境を踏まえつつ、「データ分析って何をすれば良いの?」「生成AI時代にどう進めるのが正解?」という疑問に対し、標準的なプロセスや留意点を改めて解説していきます。手元のデータをどう価値に変えるべきか検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

(本記事は2020年12月公開の記事をベースに、2026年5月の最新情報を取り入れてリライトしたものです)

データ分析とは?

IT化の進展とともに、企業活動において多種多様なデータが蓄積されてきました。かつて「ビッグデータ」と呼ばれた大量のデータ群も、今ではクラウドや最新のデータ基盤によって高速に処理できることが当たり前になっています。

現在のビジネスにおける「データ分析」とは、単に過去の数値を集計することではありません。蓄積されたデータから、生成AIなどの高度な技術も活用しつつ、課題解決のタネや未来の予測、新しいビジネスのヒントを見出す試みを指します。

データの有効活用は、もはや企業の生存戦略において必須のミッションです。

しかし、溜め込んだままの状態でデータが価値を生むことはありません。データ分析の文脈では「Data-Mining」という言葉がよく使われますが、「mining(採掘)」という言葉が示す通り、データは掘り起こし、磨き上げることが必要です。

そして、そのデータを磨く作業やその先の解釈、すなわち分析全般をお手伝いするのが、私たちコンサルタントやデータサイエンティストと呼ばれるプロフェッショナルです。

データ分析の準備:「データ分析と料理は似ている」

私は、データ分析のプロセスを説明する際によく「料理」に例えています。

まず調理器具

包丁やまな板、鍋が必要です。データ分析でも、統計解析ツールやAI、昨今では生成AIのAPIや便利なライブラリなど、道具を正しく選んで使うことが重要です。

次に食材

道具だけ揃えても食材がなければ何も作れません。そして食材は、調理することでおいしくなります。例えばどんなに立派な鯛でも、そのままでは食べられません。鱗や骨を取り除き、切り分けることで初めて「刺身」としておいしくいただけます。

データ分析も全く同じです。

いわゆる「生データ」のままで役立つことは稀で、人やAIが解釈しやすい形に加工することで初めて、ビジネスに役立つ「おいしい結果」を生み出すことができるのです。

データ分析標準プロセス「CRISP-DM」と最新の潮流

データ分析を体系的に進めるための世界的な標準プロセスに「CRISP-DM(CRoss-Industry Standard Process for Data Mining)」があります。

2026年現在、AIによる自動分析が進んでいますが、この基本プロセス自体の重要性はむしろ高まっています。分析を依頼する立場の方も、この流れを知っておくことでプロジェクトの迷走を防ぐことができます。

CRISP-DMは、以下の6つのフェーズで構成されています。

1. Business Understanding (ビジネスの理解)

業務課題や分析の目的を明確化します。全工程の中で最も重要なフェーズです。

「何を知りたいのか」「何を解決したいのか」「AIを使ってどの数値を動かしたいのか」を突き詰めます。

先ほど「データ分析と料理は似ている」と書きましたが、目的を定めず「AI使って何かやって」という依頼をするのは、食べたい料理を伝えず「包丁使って何か作って」と依頼するくらい意味がないことです。「食べられそうなもの」があり「包丁を使えそうな人」がいるからといって、何か調理してもらえば自分の望んだ料理が出てくると考えるのには無理があるのと同じです。

2. Data Understanding (データの理解)

目的を達成するために、手元にどんなデータがあるかを確認します。分布の偏り、欠損値の有無、データの鮮度などをチェックします。

このプロセスは、生成AIの登場によって作業のあり方が大きく変わりました。これまではデータサイエンティストがPythonなどでコードを書いて可視化をしながら理解を進めていましたが、今は生成AIに自然言語で可視化要件を伝えるだけで適切なスクリプトを生成し、可視化してくれます。「データサイエンスの民主化」と呼ばれる流れです。

3. Data Preparation (データの準備)

続いて、実際にデータを加工する作業を実施します。データの準備には主に「データクレンジング」と「特徴量の生成」があります。

データクレンジングは、「データを『人間にとって』見やすくする作業」のことを指します。代表的なものとして、欠損しているデータの削除や補正が挙げられます。

特徴量生成は、「データを『機械にとって』見やすくする作業」です。

データ分析というと、どうしても次のステップ「モデリング」が着目されがちですが、実際に作業の大部分を占めるのは、この「データの準備」のステップです。

このプロセスも、上述した「データサイエンスの民主化」が大きく進んだ領域です。加工するためのコードの生成自体は、生成AIにほぼ一任することができます。

一方で、昔から誤った入力を与えられると誤った出力を生むことを指す「Garbage In, Garbage Out(GIGO)」という言葉がありますが、生成AIを活用してデータを分析する場合でもこの原則は変わりません。前のプロセス(データの理解やビジネスの理解)をどれだけ精緻に実施し、加工要件に落とし込めているかが重要なポイントです。

4. Modeling (モデリング)

データの準備が整ったところで、統計手法や機械学習、あるいは最新の生成AI(LLM)を用いたモデル作成を実施します。

モデリングの手法には複数の種類があり、基礎的なものだと回帰分析による回帰式の算出から、最近のものだとAIを使った予測モデルや画像判定モデル等の生成等が挙げられます。

また、手法の選択に先立ち、株価予測のように具体的な数値を予測する問題(回帰問題)にするのか、あるいは感染症や疾患の陽性判定のように陽性/陰性といった真偽を予測する問題(分類問題)にするのか等、問題の設定方法を検討・決定します。

最近では、従来のような「予測モデル」を作るだけでなく、AIエージェントにデータを読み込ませて「洞察(インサイト)」を直接出力させる手法も一般的になっています。

5. Evaluation (評価)

分析結果がビジネス目的に合致しているか、生成した予測モデルの精度に問題がないか、過学習(特定の学習データの傾向だけを偏って学習すること)していないか、といった観点で評価を実施します。

評価で問題があった場合は、データの量や変数、学習の方法等をあらためて見直し、データの準備やモデリングを再度実施します。必要に応じて最初のステップ(ビジネスの理解)まで立ち戻り、課題設定を変更することもあります。

6. Deployment (展開)

CRISP-DMの最後のプロセスです。生成した予測モデルや、分析結果に基づく新たな手順を業務に組み込みます。ダッシュボードで可視化する、あるいはAIモデルをアプリに組み込んで自動判定させるなど、目的に応じた形で行います。

データ分析のプロセス(CRISP-DM) 1.ビジネスの理解 データを扱う前に業務課題や分析の目的を明確化する 2.データの理解 分析目的に沿うデータが取得できているか確認する 3.データの準備 次工程の分析モデルに当てはめるための処理を行う 4.モデル作成 データを統計的な手法や機械学習等のモデルに当てはめて分析を実行する 5.評価 分析が適切か評価を行う(問題がある場合、必要に応じて1まで戻る) 6.展開 生成した予測モデルや分析結果を業務に適用(現場に展開)していく

一番大切なのは「問い」を立てること

こうしたプロセスを眺めると、データ分析が一筋縄ではいかないことが分かります。

ここで改めてお伝えしたいのは、「何を知りたいのか」という「問い」を立て、洗練させていくことの重要性です。

2026年現在、高度な分析の多くはAIが自動でやってくれるようになりました。しかし、「そもそも何をAIに解かせるべきか」という問いを立てる作業は、依然として人間にしかできない高度な領域です。

「AIを使って何かやって」という依頼は、料理人に「包丁を使って何か作って」と頼むのと同じです。

プロジェクトの進行中は、常に「何を目的としているのか」をメンバー全員が意識・共有し、分析の進捗に合わせて「問い」をブラッシュアップしていく姿勢こそが、成功の鍵となります。

データ分析を外部に委託するには?

「問いの共有」が最重要

上述した「問いの共有」は、特に分析の実務を外部に委託する際には一層意識すべき点です。この場合、どうしても委託者は「業務」、受託者は「データ」に軸足を置きがちで、気付いたら互いの問いの設定がチグハグなものになっていて期待した成果が出てこない、というケースもあります。

このような齟齬を予防すべく、常に問題意識の共有を図ることがプロジェクト成功のキーとなります。

「AIと人間」の役割分担を理解しているか

委託先を選ぶ際、私たちが最も注意深く見ていただきたいのがこの点です。2026年現在、「うちも生成AIを活用できます」と謳う会社は急増していますが、AIをどこに任せ、どこに人間が介在するかの設計思想を持っているかどうかで、成果は大きく変わります。

AIが得意なこと

まず、AIが明確に人間を上回る領域があります。

  • 大量データからのパターン抽出:数百万行のトランザクションデータから相関関係を見つけ出す作業は、AIにとって瞬時の仕事です。
  • 定型的な集計・可視化:「月次の売上推移を地域別にグラフ化して」といった指示は、生成AIに投げれば数分で返ってきます。
  • 下書きの生成:分析レポートのドラフト、SQL、Pythonコードなど「ゼロから1を作る」部分をAIに任せることで、大幅な時間短縮が可能です。

この領域をAIに任せず、未だに人力だけで頑張っているような委託先は、2026年の水準ではAIを十分に使えておらずコストパフォーマンスが見合わないといえます。

人間にしかできないこと

一方で、AIに任せてはいけない、あるいは任せると危険な領域があります。

  • 「問い」の設定:前述の通り、「そもそも何を分析すべきか」を決めるのは人間の仕事です。AIは与えられた問いには答えますが、間違った問いに対しても”それらしい答え”を返してしまうため、ここを誤ると分析全体が的外れになります。
  • 相関と因果の切り分け:AIは「AとBには相関がある」までは示せますが、「AがBの原因なのか、逆なのか、あるいは両方を引き起こす別の要因Cがあるのか」を判断するには、業務知識とドメイン理解が必要です。この見極めを誤ると、施策を打っても成果が出ません。
  • ビジネス文脈・ステークホルダーへの配慮:「データ上は効率化できるが、現場のオペレーションや顧客体験を損なう」ような提案を、AIは平気で出してきます。それを受け止めて「この施策は実行可能か、組織として受け入れられるか」を判断できるのは人間だけです。
  • ハルシネーション(もっともらしい誤答)のチェック:生成AIは、存在しない数値や架空の傾向を自信満々に出力することがあります。その出力を鵜呑みにせず検証できる専門家がいるかどうかは、品質を左右する分かれ道です。

AIが出した数字に、業務文脈という”補助線”を引けるかどうか──パートナーのクオリティは、ここで差がつきます。優れたパートナーは、AIの出力をそのまま提示するのではなく、「この予測はここまでは信頼できるが、ここは人間の判断で上書きすべき」といった確信度の地図を合わせて提示してくれます。

委託先を見極める3つの質問

商談の場では、以下の問いを投げかけてみてください。役割分担の設計思想が透けて見えます。

  1. 「この分析のうち、どの工程をAIに任せ、どこに人間が入りますか?」──即答できる会社は、方法論が確立しています。
  2. 「AIが出した結果が間違っていた場合、どうやって気付きますか?」──検証プロセスを持っているかが分かります。
  3. 「今回の分析結果を、経営会議でどう説明すべきだと思いますか?」──ビジネスサイドの言語に翻訳できる力があるかが見極められます。

「AIを使いこなせる」ことと、「ただAIを使う」ことは違います。両者のバランス感覚を持つパートナーこそが、2026年以降のデータ分析プロジェクトで頼りになる存在です。

提供データの形式は深く考えなくて良い

「手元にあるバラバラのExcelファイルでは頼めないのでは?」と心配される必要はありません。

プライバシーや機密情報さえ適切に処理されていれば、データの整形・加工はプロの仕事です。形式を気にして着手が遅れるよりも、まずは現状のデータをそのまま見せて、何ができるかを相談することをお勧めします。

便利なツールを活用しましょう(2026年版)

プログラミング不要でデータ分析ができるツールは進化し続けています。新しいツールが続々と登場している一方、定評のあるツールがAI機能を搭載する形での進化も目立っています。ここではそれらのうち、主だったいくつかを紹介します。

  • Microsoft 365 Copilot(Excel):「この売上データで過去3年の傾向をまとめて」と自然言語で依頼できる機能です。Excelユーザーの方にはもはや身近な存在かもしれませんね。
  • Tableau / Microsoft Power BI: 依然としてエンタープライズでの可視化の定番。最近はどちらも生成AI機能(Tableau Pulse、Copilot in Power BI)が組み込まれ、自然言語で質問するだけで分析してくれる流れになっています。
  • KNIME(ナイム):以前から定評のあるノーコードツールです。複雑なデータ加工(クレンジング)や機械学習のフローを視覚的に構築できるため、今でも現場で根強く使われています。
  • Alteryx(アルテリックス):ドラッグ&ドロップの直感的な操作で、データの準備、集計、分析、自動化をノンプログラミングで行えるセルフサービス型分析プラットフォームです。AIを活用したデータ分析も可能です。
  • 生成AI(ChatGPT / Claude等)の分析機能:最近では、ExcelファイルをアップロードするだけでAIがグラフ化や相関分析を行ってくれる機能が非常に強力です。「まずは手軽に傾向を知りたい」という場合には最適のツールとなりました。
  • AIエージェント:「このデータから売上低下の要因を3つ探して」と指示するだけで、データ準備からモデリングまでを自律的にこなすAIエージェントの活用も始まっています。

【実例】データを用いて熟練の勘を資産に変える

ここで、私たちが関わった実例を一つご紹介します。

地下工事のトップランナーである成幸利根株式会社様では、ベテラン技術者の勘と経験が施工品質を支えていました。しかし労働人口減に伴い人材の減少が進むなか、その熟練者がいなくなれば品質が保てない――という危機感が募っていました。

そこで成幸利根様では「施工計画立案を補助するAI」の開発を企画し、経験や勘に頼っていた部分を、誰もが共有して的確に行えることをめざしました。

このプロジェクトで立てた問いは、「ベテランが現場を離れても、安定した品質を継承するには何を予測できれば良いか」です。この問いを成幸利根様とNCDCの定例会議で何度も磨き込み、数ある項目の中から「予測に熟練を要する項目」を絞り込んでいきました。

あとはCRISP-DMの流れの通りです。施工機械のセンサーデータと過去の蓄積データを整え、その項目を予測するモデルを構築。ベテランの判断とAIの予測を突き合わせ、「どこがどう違うのか」を現場の目で検証しながら精度を高めていきました。

詳しくは以下の事例紹介に記載しておりますので、併せてお読みください。
地下工事のトップランナーが挑むDX データ駆動型施工と業界の未来(成幸利根株式会社様)

DXのご相談はNCDCへ!

NCDCはデータ分析の知見のみならず、最新の生成AI・AIエージェントの実装から、新規事業の企画・実行支援まで、幅広いノウハウを蓄積しています。

「問い」の策定という超上流工程から、分析結果をビジネス戦略に落とし込み、必要であればシステムとして実装する。私たちは、各分野のスペシャリストによるワンストップの支援が可能です。

データ分析の支援を含め、AI時代のDX推進にお困りごとは、ぜひNCDCへご相談ください。

この記事を書いた人

島田 将人
NCDCのITコンサルタント。前職にてシステムエンジニアとしてキャリアをスタートしつつ、データ分析プロジェクトにも従事し、データサイエンティストの資格を取得。NCDCでは、データ分析案件を中心としてビジネスコンサルティングやシステム開発マネジメント等、多岐にわたる業務を担当。

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