NCDCは2020年7月にロゴマークのリニューアルを実施しました。
なぜロゴを変更することにしたのか、新しいロゴマークにはどのような意味が込められているのか。代表の早津とデザインを担当した菅原の対談を通して、ロゴリニューアルの背景をお届けします。
ロゴを変更することにした背景、意図は?
––– 以前のロゴは作成されたのが2018年で、そう古いものではなかったですが、なぜこのタイミングでロゴをリニューアルすることにしたのですか?
早津 ── 2019年10月に「NCデザイン&コンサルティング株式会社」から「NCDC株式会社」へと商号変更を行いました。
実は2011年の創業当初から略称として「NCDC」を使っていた経緯から、正式名称を「NCDC」だと思っていただいているお客さまも多くいらっしゃいます。そこで、名称を実態に合わせるべく、「NCDC株式会社」に変更したのです。
そのときにロゴをリニューアルしようかと考えていたのですが、ロゴを変更するとさまざまな影響があってそのタイミングで行うのは難しかったので、一旦見送ったという背景があります。
しかし、ちょうど2019年頃から新しいメンバーもNCDCに数多く入ってきていましたし、新たなオフィス「Innovation Base」を東京・港区に用意するなど、NCDCではここ1年程の間に多くの変化が起きています。
この機会に社員みんなで新たなNCDCをつくり上げるという感覚をもってほしいという思いがあったので、社名変更から少し後の時期になりましたが、皆で議論しながらロゴも刷新することを決めました。Innovation Baseを開設して、社員みんなでのディスカッションする最初のテーマにしたのです。
––– ちょうどその時期にチーフUXデザイナーとして菅原さんが入社してロゴリニューアルのメイン担当になったのですよね。何からはじめたのですか?
菅原 ── 私は社名がNCDCになったあとで入社したのですが、当時ロゴの件も含めていろいろと社内のメンバーで活発な議論がなされていました。
まずその議論に参加し、私がリードさせて頂くかたちで、NCDCのさまざまなバックグラウンドを持ったデザイナーとともに検討をはじめました。
入社したばかりであまり過去のNCDCを知らない私は、ある意味では先入観なしにNCDCの新しいイメージづくりに取り組める立場にいます。そこでまず「NCDCとはどんな会社なのか?」を代表である早津さんに聞きましたね。
新たなロゴデザインのためにデザイナーに伝えたこと
早津 ── 菅原さんから「NCDCとはどんな会社なのか?」と聞かれてすぐに用意したのがこちらの資料です。
これはお客さまにブランディングのワークショップを行う際に使っていたフレームワークのNCDC版です。
数年前に社内でワークショップを行い作成したものをベースとして、今一度、一人でじっくり考えて見直しを行い、新しいNCDCとしてのブランドパーソナリティ、NCDCの世界観を定義してみました。
菅原 ── NCDCについて知らない部分が多かったので、この資料は非常に役に立ちました。企業文化やトップの想いはこの説明でかなり理解できたと思います。それに私自身が入社前に抱いていた外部から見た印象なども加味して、少しでもリニューアルしたロゴで体現できればいいなと思いました。
早津 ── 外部から見ていたNCDC の印象と比べてどう感じましたか?
菅原 ── NCDCとしての個性に「ピュア」「クリエイティブ」とありますが、実はこれに関しては入社前の印象と入社後に参加したワークショップなどで感じた社内の雰囲気に大きなギャップを感じていました。もっと社外に対してこの印象を発信できたら、NCDCブランドを醸成することができるのではないかと考えました。
ロゴデザインのプロセス
––– NCDCのロゴに限った話ではないですが、こういった企業ロゴリニューアルに取り組む際、デザインはどのようなプロセスで進めるのですか?
菅原 ── 簡単にまとめると下記の流れで進めていきます。
- ロゴに求めること、背景を理解
– 理念、目指すべき姿、価値観、行動指標などさまざまな視点で捉える
– 競合他社のリサーチ
– 過去に使用したロゴの変遷
– ロゴが抱えている問題点
– 他社から見た時のNCDCのイメージ
– インナーブランディング、アウターブランディングとしての役割
– ロゴの流行り廃り - イメージへの変換
– 上記1で得られたさまざまな視点を元に、形に変換しながら切り口を探していく - イメージの絞り込み
– シンボル、カラー、展開ツールのビジュアル化
今回のNCDCロゴリニューアルのプロセスを、その過程で作成したデザイン案も含めて紹介する記事を用意しています。ロゴデザインの詳細なプロセスに興味がある方は併せてご覧ください。
関連記事:ロゴデザインのプロセスを図解付きで公開
––– 入社間もない中でNCDCのことをより深く理解するためには、先に出てきた「NCDCのブランドパーソナリティ」の資料の他にも何か必要でしたか?
菅原 ── 「理念」や「過去のロゴの変遷」を知るという点では、NCDCというネーミングやタグラインの「Design Everything」の意味。そして過去のロゴがデザインされた意図なども非常に重要な要素でした。
––– もともとNCDCというのは明確な意味をもつ社名なのですよね。
早津 ── NCはNext Conceptを省略したもので「一歩先のITや一歩先のイノベーション」を意味しています。DCの意味は旧社名が示していたように「デザイン&コンサルティング」です。つまり、NCDCという社名は「一歩先のイノベーションを具体化し、お客さまと共により良い社会を実現していく会社でありたい」という意思を示しています。
Design Everythingは、その「一歩先」を実現するために「プロフェッショナリズムとクリエイティビティを駆使して最適解を創造する」という意味が込められています。
菅原 ── 社名やタグラインに込められた意味や想いはブランドを構築するために非常に大切で、ロゴをデザインする上で重要なファクトとなります。
「一歩先」「イノベーション」「Next Concept」というワードを説明いただいたときに、個人的には、闇の中を一点の光に向かって突き進んでいくシーンを想像しました。ただ、それは闇雲に進んでいくのではなく、さまざまな方法論や多角的な視点を持って着実に前へ進んでいくようなイメージです。
このあたりのイメージもブランドの世界観とは別に、ロゴデザインの切り口としてカタチに起こしていければと思いました。
新ロゴのコンセプト、込めた想い
––– 詳しいデザインプロセスは別の記事で紹介するのでここでは省略しますが、前述した背景やNCDCの目指す姿などを踏まえていくつものデザイン案がつくられ、何度かのブラッシュアップを経て、最終的にひとつロゴデザインが選ばれたわけですね。
決定案はどのようなコンセプトでつくられたのですか?
菅原 ── こちらが新しいNCDCのロゴマークです。
新たにシンボルマークがつくられたのが大きな特徴ですが、このマークにはさまざまな意味が込められています。
- 向かい合う矢印:一方的にリードする(押し進める)のではなく、お客さまと共に考え、共に前進していく
- 羽ばたく蝶や花:蕾が花へ、さなぎが蝶へ成長していくように、新規サービスの企画から事業を成功へと導く
- 手を上げて向かい合う人(バンザイ):お客さまと同じ目線で課題に向き合い、ともに解決し、絆を深めていく
総合すると、デジタルイノベーションファームとして今まで築き上げてきた実績と、そのうえに成り立っているお客さまからの信頼をより多く積み重ねていきたい。そして、お客さまの成功と自社の成長を加速させていきたいという意図を持ってイメージづくりを心がけました。
––– この新ロゴについてNCDCの代表としてどのように感じていますか?
早津 ── これは創業当時から変わらない想いなのですが、我々はイノベーターでユニークな会社であり続けたい。CIも、そのNCDCを表現するようなデザインであってほしいと考えています。その点で、期待どおりのとてもいいロゴができたと思います。
CI が表現しているようにNCDCのサービス、各メンバーもイノベーターでありユニークな存在であってほしいと願っています。
名刺にはちょっとした工夫が…
––– 実は新ロゴをさまざまツールに反映していく作業はまだ終わっていませんが、すでに準備している名刺にはちょっと工夫があるのですよね?
菅原 ── 社員全員が同じ名刺を持つのが一般的ですが、今回は複数の名刺を組み合わせることでシンボルマークが出来上がる背面のグラフィックを採用しました。
なぜ複数の名刺の組み合わせでシンボルマークが完成するデザインにしたかというと、この仕組みは、それぞれの分野のプロフェッショナルが集まることでNCDCというイノベーションファームが成り立っていることを示しています。
そうしたNCDCのブランドを、社外だけでなく社内にメンバーにも意識づけしたいと考えて提案しました。
早津 ── この提案を受けて、面白いと思ったのですぐに採用しました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、現在はお客さまと対面する機会がとても少なく残念なのですが、状況が改善した折にはぜひ多くのお客さまとNCDCメンバーが顔を合わせる機会をつくって、お客さまにこうした名刺の仕掛けを発見して欲しいと思います。