私は20年近く、お客様のビジネスやシステムを作る仕事をしてきました。その中のキャリアの半分以上は「新規事業」に関わるビジネス、残りは通常の課題に対してのソリューション提供をしてきました。どちらの場合も同様ですが、提案時に「事例」の有無にこだわるお客様が結構多い印象です。
「事例を知りたい」ということ自体は悪いことではないと思いますが、求めている事例に合致しないと、話も聞かないという雰囲気のお客様も少数ながら経験したことがあります。
そして、全体の傾向として、そういったお客様はプロジェクトが始まっても、ベンダー依存が高い傾向にあります。言葉を変えれば丸投げに近い感じです。
当然、成功の確率は低くなってきますし、失敗の理由もベンダーにしてしまう傾向があります。
一方、「事例なんて気にしない。あくまで参考程度。事例は自分達が作る側だ」という気概を持っているお客様もいらっしゃいます。そういったお客様は私達に責任転嫁などすることなく、オーナーシップを持って自ら動こうとします。
その姿勢でプロジェクトが始まると、多少の困難があってもOne Teamで乗り切ることができ、最終的に成功までこぎつけていると思います。
事例に頼る。つまり、「事例をベースにしながら、自分たちもその通りにやれば一番リスクが低いのではないか?」という思想は大きな落とし穴があるのです。
なぜなら、人は無意識に「自分と共通な部分」に意識がいってしまい、異なるところが見えにくい傾向があるからです。例えば、事例を見た時、業種や企業規模の共通点に目がいってしまい、成功のキー要素(KSF)が別のところにあるのに、見えていないことがあります。多くの企業がそれぞれ、多くの部分で異なることが多いため、「そこでしか出来なかった成功した方法」であることのほうが圧倒的に多いはずです。
基本的には事例に頼るより、「自らが事例になるんだ」といった気概を持つほうが成功への近道だと思います。
「事例を作る」気概を持ったプロジェクトにNCDCが関わったものの「事例」がまとめてあります。ぜひ、鵜呑みにせず、「参考程度で」自ら事例を作るつもりで読んでいただければと思います。次にここに載るのはあなたの会社かもしれませんね!
NCDC顧客事例
早津俊秀