ビジネスの様々な領域でUX(user experience :使用者経験)の概念を取り入れたアプローチが増えてきています。これまではアプリやウェブサービスのデザインや使い勝手におけるUX(ユーザーの気持ち、感情、記憶などの経験全般の総称)が一般的でした。しかし、最近では顧客満足や売上増加を目的に、お客様の経験を定義してマーケティング施策に活かす、カスタマーエクスペリエンス(CX)という概念も広がってきています。
新規サービス開発の領域でも、エクスペリエンスデザインの考え方を取り入れてアプローチする試みが増えています。NCDCへそういった内容のご相談を頂くクライアント様も増えており、「ユーザーやお客様の経験をデザインすることで他社とは異なった価値を訴求していこう」という考えが浸透し始めていることを実感しています。このコラムでは、UXアプローチを考える試みの一つとして、営業活動をUXの切り口から考察してみました。
※ユーザーに限った話しではないので、クライアントエクスペリエンスと言った方がより正しいのかもしれませんが、ここでは広義の意味でUXという表現を使っています。
一例として、コンサルティング案件のコンペに参加するシーンを考えてみました。
●ゴール設定:「NCDCにご発注頂くこと」としてみました。
●対象:カウンターパートおよび決裁者
営業相手は、特定の個人か組織なので、ペルソナは自ずと決定されます。カウンターパートおよび決裁者ということが殆どかと思います。
●提供するUX:「NCDCがいいね。ぜひこの案件を一緒にやりたい」と心底思ってもらう体験
コンペというストーリの中で、ペルソナにどのような体験を提供すれば、他社ではなくNCDCを選んで貰えるのでしょうか?
「NCDCがいいね。ぜひこの案件を一緒にやりたい」とペルソナに心底思ってもらう体験が必要になると思いませんか?
そう考えると、お客様の提案依頼書に単に回答するだけでは適切なUXは提供できないことは簡単に気づくはずです。コンペの中で「Wow!いいね!」と感じてもらうUXが必要だと考えます。
●コンタクトポイント:営業プロセス上の全ての顧客接点
コンペに限らず、あらゆる顧客接点でUXを意識して振る舞うことも重要です。商談の中の振る舞いや言動だけでなく、電話やメール、本部からのサポート対応をはじめ提案内容の精度・正確さ、ドキュメントの洗練度合い、同行者の振る舞いなど、数えきれませんが、顧客接点になるあらゆるものが、顧客に「Wow!」を提供できるUXに繋がるアクションである必要があるでしょう。
製品開発、マーケティング、新規ビジネスなど、UXが適用される領域が広がってきています。営業においては、従来から営業の鉄則として「お客様に気にいってもらえ」「お客様の立場で考えろ」などと言われたものですが、UXの視点で考えると当然のことであることが理解できるでしょう。「お客様のためなら気合と根性で」という営業はUXの視点では非常に正しいアプローチということです。しかし、営業活動の全プロセスが営業パーソン一人で完結していないことが多いですから、営業機能全てにUXな視点を取り入れる余地は多いにあると感じています。
以上から組織として、営業活動にUXな視点を入れ、ハイパフォーマンスな業務を実現していく際には、
・個別顧客に特化した深耕の視点
・企画やマーケティング、サポート、営業推進なども含め共通部分に横串を通す視点
の双方で、一貫したUXを顧客に提供できるような設計を考慮することが重要になってくるのではないでしょか?
営業活動を例としましたが、NCDCではUXの推進を支援するコンサルティングを提供しています。
UXのサービスをイメージしていただければ幸いです。
田原 章一郎