「アストラゼネカではスマートデバイスを活用したマーケティング施策の拡大へ向けて、 アプリ開発ベンダー向けのガイドラインを策定。
ビジネスの要請にスピーディーに応える為の 業務の標準化・効率化とリスク対策を実現し、戦略的に開発ベンダーとのパートナーシップを確立」
小野氏:プロジェクトの内容は、スマートデバイス向けのアプリ制作のガイドラインの策定です。
背景としては、スマートデバイス向けアプリを中心に、デジタルコンテンツの拡大に従って、ガバナンスが担保できていないことが課題でした。
小野氏:当社はグローバル製薬企業ですので、デジタルコンテンツひとつ作るにあたっても、国内外・社内外の様々なコンプライアンス要件やポリシーなどを遵守する必要があります。
しかし、そういったものがわかりやすく整理されておらず、実務上のプロセスが分かりにくいという声が社内からあがりはじめました。
デジタルコンテンツは情報システムとは違って、コンテンツを企画しているマーケティング部門が自由に作ることができてしまいますので、特に技術面での考慮が疎かになりがちです。
実際に、社内のITポリシーを十分考慮せずに作成されたデジタルコンテンツが社員向けに配布できない、といったトラブルもありました。
このままでは今後拡大するアプリ制作において、大きな問題が起きる可能性があり、ガバナンスを強化するべきだと考えたのです。
小野氏:開発ベンダーがアプリを制作する際に必要になる実装方式・ユーザーインターフェースに関する標準や、当社がアプリの企画を承認したり納品物を受け入れたりする際の基準や業務フロー、実際にアプリを配布・管理するための業務フローなどです。
朝田氏:iPad用とiPhone用がありますが、患者さん向けは3つ、ドクター向けiPad用は9つくらいです。
また、当社のMR(Medical Representative:医薬情報伝達者)が使用するアプリがいくつかあります。
製薬業界の中でも当社は多い方になるのではないでしょうか。
朝田氏:その後、問題はでてきていないですね。
つまり、問題がでてきていないということは効果があったと思っています。
問題が出る前に出ないように対策したということで、目的は達成できています。
山下氏:別の効果も得られています。開発ベンダーに対して、「こう作ってほしい」という説明を一からしなくても良く、無駄な行程が省けて、業務の効率化に繋がっていると思います。
山下氏:従来から当社とiPadの活用方法などについて何度も議論させていただいたことがあったと思いますが、
その頃から、NCDCの皆さんのスキル、アプリに対する知識、アップル社の承認プロセスの知見、エンタープライズなシステム関連に詳しいなど、我々が持っていない知見を持っていたところが一番大きなポイントでした。
もちろん人柄も(笑)。
小野氏:ガイドライン作成のためのコンサルテーションとガイドラインそのものの作成をお願いしました。
最後には開発ベンダーさんへの説明会でも内容の説明をしてもらいました。
山下氏:いいえ。この分野は最初からNCDCさんにしようと思っていたので、特に比較もしなかったです。
小野氏:そうですね。ガイドラインを作っていただくだけでなく、ディスカッションの中で最新の知見を共有いただけたり、弊社のプロセスに柔軟に合わせて修正を加えて頂きましたし、そこが良かったです。
山下氏:私達が気づかないところに対するアドバイスが的確でした。特にアップル社側の動向などや最新知識など、本当に助かりました。
小野氏:当社では情報システム部門の役割は、技術特化ではなく、ビジネス部門に対して戦略のサポートをする、ビジネスパートナーというスタンスにシフトしています。
つまり、先端のITの動向や技術に関しては外部ベンダーさんのお力を借りることが大きくなっているのです。
NCDCさんはそういった分野にも強かったので、とても助かりました。
山下氏:基本的には技術面です。こういうことをしたいと相談した時に、できる、できないのレスポンスが早かったです。
その場で返答できず、「持ち帰ります」というベンダーさんが多い中、NCDCさんの返答は即答、かつ凄くクリアだったので大変やり易かったです。
山下氏:苦労をした点ではないのかもしれないですが、改めて社内の業務プロセスを見直してみて、ちゃんと理解できていなかったことがわかりました。
本来あるべき姿はこうだよね、と軌道修正する良い機会になりました。
朝田氏:今回作って頂いたガイドラインはベンダーさんに対する手順を示すものでしたが、
社内は社内で色々なルールがあります。例えば個人情報のデータを取得する場合などですね。
今はそういった社内向けのガイドラインを制作しています。
山下氏:どこの会社もそうかもしれませんが
今まではウェブサイト、アプリ それぞれが単体で動いている感があるので、
それらをどう繋げていけるのかが新しいステージだと思っています。
ウェブとアプリ共通で使うデータベースが間に入ってくる必要があるでしょうし、
そうすると、データ管理の厳密性もより必要になるでしょう。
そういったプラットフォームを作っていき、情報の価値を高める施策に取り組みたいと思っています。
朝田氏:ガイドラインの更新も常にしていかないといけないですので、私たちでは知ることが難しい業界の最新情報の提供を頂きたいですね。
山下氏:スマートデバイス向けアプリだけでなく、ウェブサイトとのつながりや、
政府などを巻き込んだ医師と患者様のコミュニケーションが取れる仕組みの構築など、ちょっと大きな話になりますが将来的には考える必要がでてきますので、ビジネスとして一緒にできればと思っています。
小野氏:新しい概念が出てきた時に、一緒になって面白いことができないかを考えていきたいと思っています。
NCDCさんはこちらが言った事をしてもらうだけのベンダーさんではないので、一緒に何かを仕掛けていけるパートナーとして期待しています。