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従来、クラウドの利用に消極的だった企業でも、新システムの導入や既存システムのリニューアルの際にクラウドを考慮に入れるケースが当たり前となりました。
さらに2026年の現在は、単なるITインフラの置き場所という文脈を超え「生成AIをいかにビジネスに活用するか」という観点からも各クラウドへの注目は高まっています。
そのため、新たに利用するクラウドサービスを検討する際に、各社のAI関連サービスの違い・特長を把握しておくことは大切です。
以前の記事「3大クラウド(AWS・Azure・Google Cloud)の超簡単比較」では、3つのクラウドサービス全体の特長をご紹介しました。今回はその続編として「各クラウドが提供する生成AIサービス」に範囲を絞り、その特長と選び方を「超簡単」にまとめてご紹介します。
クラウド主要3社のAIサービス比較
2026年現在、ビジネスで活用される主要なAIモデル(ClaudeやGPT系モデル)はどのクラウドでも概ね利用可能となっており、「どのモデルを使いたいか」という観点で迷う場面は少なくなっています。
では、何が違うのか? 選択のポイントはどこか? というと、各クラウドが持つ「AIプラットフォームとしての設計」や「既存ツールとの連携性」の差に注目すべきといえます。
この記事では、はじめての方(初心者やエンジニア以外の方)にも理解しやすいよう、世界シェアを牽引する以下の3大サービスの動向を整理します。
- Amazon Web Services(AWS)「Amazon Bedrock」
- Microsoft Azure(アジュール)「Microsoft Foundry」
- Google Cloud(グーグルクラウド)「Gemini Enterprise Agent Platform」
「これからAIを使ったサービスを作りたいけれど、どのクラウドがいいの?」という方にも参考になる内容です。
AWS「Amazon Bedrock」
AWSの生成AIプラットフォームである「Amazon Bedrock」は、複数のAIベンダーが提供する基盤モデルを利用できる「マルチモデル対応」が最大の特徴です。
Anthropic(Claude)、Meta(Llama)、MistralやOpenAIのGPTシリーズなど、複数社のモデルを統一されたAPIで呼び出すことができます。また、テキスト、画像、動画、音声、エージェンティック AI など多様な ユースケースに対応するAWS独自のAmazon Nova 2も利用できます。
さまざまなAIモデルを統一されたAPIで利用できるという仕様のおかげで、アプリケーション開発の途中でモデルを切り替えたくなった場合も、アプリ側のコードを大きく変えずに対応が可能です。これは、特定のAIベンダーにロックインされたくない企業にとって大きなメリットと言えます。
また、既存のITインフラとしてのAWSのシェアの高さも重要な点です。
Amazon Bedrockを利用すれば、AWS上の既存システムにAI機能だけを新たに追加することは比較的容易に実現できます。そのため、すでにAWSでシステムを運用している企業にとっては、やはりAWSのAIサービスが第一の選択肢といえます。
Amazon Bedrockの特長
- Anthropic (Claude), Meta (Llama), Mistral, OpenAIなどの基盤モデルを利用できる「マルチモデル対応」
- 途中でモデルを切り替えてもコード変更を最小限に抑制可能
- 既存のAWSインフラを維持したままAI機能を追加しやすい
Azure 「Microsoft Foundry」
AzureのAI統合プラットフォーム「Microsoft Foundry」は、世界中のエンタープライズ企業から支持を得ています。GPTシリーズをはじめ、Claude、Llama、DeepSeekなど11,000以上のモデルを利用できます。
特筆すべきはMicrosoft 365との連携で、「Microsoft 365 Copilot」を導入するとWord・Excel・Teams上で直接AIが使えるようになるため、会議の議事録自動生成やExcelデータの自然言語分析が、簡単に実現できます。ノーコードでチャットボットを作れる「Copilot Studio」のようなツールも用意されています。
Azure経由でモデルを使う場合、入力データがAIの再学習に使われないことが契約上保証されていることも企業利用においては安心できるポイントです。
特に、日常業務でTeamsやOffice製品をフル活用している企業にとって、導入コストと学習コストを最小化できるAzureは第一の選択肢といえます。
Microsoft Foundryの特長
- GPTシリーズをはじめ多数のモデルから用途に合わせて選択可能
- Microsoft 365・Teams連携で普段使いのツールにAIが組み込まれるため、Office製品ユーザーは素早くAIによる業務効率化ができる
Google Cloud 「Gemini Enterprise Agent Platform」
Google Cloudの生成AIプラットフォーム「Gemini Enterprise Agent Platform(旧称:Vertex AI)」は自社開発の「Gemini」を中核に、画像生成の「Imagen」、動画生成の「Veo」なども同一基盤でシームレスに利用できます。
Gemini以外にもClaudeやDeepSeekなど200以上のモデルを「Model Garden」から選択可能です。
Google Cloudの大きな強みはデータ分析との統合です。2026年1月に正式提供された機能により、データウェアハウス「BigQuery」上のデータに対し、SQLから直接AIを呼び出して分析・要約を実行できるようになりました。データ移動の手間なく、データアナリストが既存の分析ワークフローの中でAIを即戦力として利用できるため「溜まったデータから素早くAIで価値を生み出す」ことがより簡単にできる環境といえます。
また、「Gemini for Workspace」により、Google Workspace(Gmail、Google ドキュメント、Google Meet 等)とGeminiの連携が随時強化されているため、Google Workspaceの利用者にとっては、日常業務の自動化も強力にサポートしてくれるGeminiは良い選択肢といえます。
Gemini Enterprise Agent Platformの特長
- Gemini、Imagen、Veoなど、強力なGoogle自社モデルを単一プラットフォームで提供
- 蓄積したデータから素早く価値を生み出す強力なデータ・AI統合環境
- Google Workspaceとの連携による、日常業務のシームレスな自動化と効率化
クラウドAI選びで失敗しないための判断基準
初めに述べた通りビジネスで活用される主要なAIモデルが選択肢にあるかどうかという点では三者に大きな差はありません。「どのAIモデルを使うか」は後から比較的容易に変更できる一方で「どのクラウドにデータとシステムを置くか」は、一度決めると切り替えコストが大きくなるため、重大な決断です。
現在の環境に合うものを選ぶ
まずは、自社の現在の環境に合ったクラウドを選ぶことが、いちばんの近道と言えるでしょう。たとえば次のような判断軸が考えられます。
| 状況 | 向いているクラウド |
|---|---|
| Microsoft 365・Teamsを全社で使っている | Azure |
| 厳格なセキュリティ環境でOpenAIを使いたい | Azure |
| Google Workspaceを全社で使っている | Google Cloud |
| データ分析にBigQueryを使っている・使ったことがある | Google Cloud |
| すでにAWSでシステムを動かしている | AWS |
| どのクラウドも使っていないため新規で学びやすいものがいい(学習リソースの豊富さを求める) | AWS |
セキュリティ要件とAIガバナンスから考える
エンタープライズ領域では、データの所在や再学習の有無が重要な論点となります。各社とももちろん高いセキュリティ水準を提供していますが、自社の要求水準に照らし、各社のエンタープライズ向けプランを精査することも選択の際には不可欠です。
「マルチクラウド」という選択肢
3つのクラウドはどれか一つに限定する必要はなく、組み合わせて使うことも可能です。たとえば「基幹システムはAWSで動かしつつ、AIサービスだけはAzureのFoundryを使う」といったハイブリッドな構成も珍しくありません。各社がAPIを公開しているため、技術的な連携コストは以前よりも低下しています。
ただし、複数のクラウドを管理することになれば運用の複雑さは確実に増します。コスト管理やセキュリティポリシーの統一など、考慮すべき点も増えるため、「この機能はどうしてもこのクラウドでなければならない」という明確な理由がある場合に絞ってマルチクラウドの構成を検討するのが現実的な戦略と言えるでしょう。
クラウド×AI活用のご相談ならNCDCへ
以上、2026年時点でのクラウドAI比較をご紹介しました。
AWS、Azure、Google Cloudのいずれも日々進化し続けており、どれか一つが絶対的な正解というわけではありません。大切なのは、自社の現在のインフラ環境、将来実現したいビジョン、そして現場のユーザーの使い勝手に合ったものを選ぶことです。
スペックの比較だけに時間をかけるのではなく、まずは小さなPoC(概念実証)から始め、自社の環境でどのような成果が出るかを確かめることが、AI活用を成功させる最短ルートとなります。
NCDCでは、クラウド選定から生成AIを活用したシステム設計、社内チームが自走できるようになるための内製化支援まで、ワンストップで対応しています。
とくにAWSにおいてはAWS Japanの「生成AI活用支援サービスオファリング」の認定を取得しており、生成AIアプリ(RAG)開発と、その技術移管の支援実績も有しています。
「まだ何を作るか決まっていないが、AIで何ができるか知りたい」「クラウドの選定から相談したい」といった段階から、具体的なシステム開発の相談まで、範囲を問わずお気軽にご相談ください。
NCDCでは、MCP対応の法人向けAIエージェント「BizAIgent」を自社開発しているため、AIシステム開発における実践的な知見を提供可能です。





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