DX予算の上手な使い方。年度末の「消化」で終わらない、来期に繋げる先行投資案を紹介

公開 : 2025.12.07 
カテゴリー

年度末が近づくと、多くの企業で課題となるのが「残予算の使い道」です。「予算は消化したいが、無駄なものには使いたくない」「来期のDX推進に繋がる有意義な使い方はできないか?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事ではとくにDXプロジェクトや、何らかのシステム開発・改修プロジェクトに関わる方向けに、今期の残りの予算と期間をうまく活用して、来期のDXプロジェクトをスムーズにスタートさせるための「助走」テクニックをご紹介します。

ポイントは「来期のDX施策の準備」に充てること

限られた期間と予算の中で、ゼロからシステムを開発してリリースまで行うのは現実的ではありません。しかし、「来期行うプロジェクトの準備」であれば、数ヶ月という短期間でも十分に成果を出すことが可能です。

本記事では、効果的な予算活用法として以下の3つのパターンをご紹介します。

  • 来期作る・改修するシステムの準備を進める
  • 来期以降に役立つDX人材の採用や育成に取り組む
  • 来期以降のコスト削減に取り組む

1. 来期作る・改修するシステムの「準備」とは?

システム開発は「企画・要件定義」「設計・開発」「テスト・運用」などのフェーズに分かれます。このうち、最初の「要件定義」や「技術検証」のみを今期中に実施するという方法です。

① 要件定義を先行実施する

開発全体の予算は来期計上であっても、その手前の「要件定義」だけを今期の予算で行います。
システム開発全体を見ると長期間、大きな予算がかかりますが、初期の「要件定義」だけ契約を分けて先行して行うことは可能です。
システムの規模によっては要検定だけでも3ヶ月かかるようなケースもありますが、その場合でも工夫すれば一部を先行して予算を分けて実施することは可能です。

【メリット】

  • 来期の早い段階で開発に着手できる(ロケットスタートが切れる)。
  • 要件を詰めることで見積もりの精度が上がり、来期の予算計画のブレを防げる。
  • 具体的な機能やUI案(画面イメージ)ができることで、社内承認が得やすくなる。

② リサーチ・アセスメントを実施する

既存システムの改修を予定している場合、現状のどこに問題があるかを専門家に診断(アセスメント)してもらう、あるいは新しい技術の調査を依頼するのも有効です。

例えば、「システムが使いにくい」という声がある場合、UX/UIの専門家によるヒューリスティック調査(プロによる評価)を行うことで、具体的な改善案を来期の改修計画に盛り込むことができます。

③ PoC(概念実証)を行う

不確実性の高い新規事業や新技術(AIやIoTなど)を導入する場合、いきなり本開発をするのはリスクがあります。そこで、MVP(実用最小限の製品)を作って検証する「PoC」を今期中に実施します。

「本当に技術的に実現可能なのか?」「ユーザーに受け入れられるのか?」を事前に検証することで、来期の本プロジェクトのリスクを大幅に減らすことができます。

NCDCのPoC支援実績では、「残予算消化」としての実施ではありませんが、短期間でAIによる動画解析の検証を行ったことがあります。
フェーズを区切り「この検証だけを2ヶ月以内に行なう」等の期間を設定して実施すれば、残予算で短期のPoCを行うことは十分可能です。

2.DX人材の「採用・育成」の準備

DX推進の最大のボトルネックになりがちなのが「人材不足」です。来期のプロジェクト開始に備え、組織や人の準備をしておくことも立派な先行投資です。

研修やワークショップによる育成

1ヶ月〜2ヶ月程度あれば、社内でDX人材育成のための研修やワークショップを実施可能です。

  • アイデア創出ワークショップ:さまざまな手法を用いてアイデア出しを行うideationワークショップで、ゼロから新規事業の候補を創出
  • UXデザイン基礎研修・ワークショップ:カスタマージャーニーマップなどUXデザインの手法を用いて、事業の価値や改善点をユーザー視点で検証する手法を学ぶ
  • UX/UIデザイン研修:UX/UIデザインの基礎知識から画面設計までをケーススタディに沿って体験する研修(実在システムのUI改善サンプル作成等も可能)

これらは比較的低予算で実施でき、担当者の負担も少なく、かつ来期に向けた社内の機運を高める効果があります。

組織や人材要件の定義

「DX人材が採れない」という悩みの多くは、そもそも「どんなスキルセットの人が必要か」が明確になっていないことに起因します。専門家の支援を受けながらDX組織目指す姿の検討や、必要な人材像の定義、評価基準の策定などを今期中に済ませておけば、来期早々から質の高い組織づくりや採用活動がスタートできます。

3. クラウドコストの削減(来期の予算枠を拡大する)

もし既にAWS等のクラウドを利用している場合、設定の見直しによるコスト削減も検討に値します。
長期間運用しているクラウド環境は設定が最適化されておらず、無駄なコストが発生しているケースが多々あります。

今期中に設定を見直して無駄なインフラコストを削減できれば、浮いた費用を来期の攻めのDX投資に回すことができるようになります。

関連情報
サービスの利用状況を見直し、最適化により利用料の削減を図る、成果報酬型のAWSコスト削減サービス

今期の「準備」が来期の「成果」を変える

「予算消化」というと、どうしても無駄遣いのイメージがつきまといますが、今回ご紹介した施策はすべて「来期のプロジェクトを成功させるための準備(=助走)」です。

  • 要件定義・技術検証を済ませておく
  • 人材のスキルアップ・採用基準を整えておく
  • 無駄なコストを削減しておく

限られた期間と予算でも、工夫次第でできることはたくさんあります。
「来期こそDXを加速させたい」とお考えの担当者様は、ぜひこの時期に「攻めの準備」を検討してみてはいかがでしょうか。

NCDCでは、これらの「要件定義」「UX/UIアセスメント」「PoC」「人材育成」など、DXの初期フェーズにおける支援実績が豊富にございます。限られた予算や時間の範囲内での具体的な進め方などのご相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください

ページトップへ

お問い合わせ

NCDCのサービスやセミナー依頼などのお問い合わせは
下記のお電話 また、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

050-3852-6483