資料公開|DXを実現する組織とロードマップのつくり方

公開 : 2020.08.11  最終更新 : 2021.08.26
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2020年7月28日にオンラインセミナー「DXを実現する組織とロードマップのつくり方」を開催いたしました。
この記事では当日用いた資料を公開し、そのポイントをご紹介します。

NCDCでは定期的にセミナーを開催していますので、ご興味のある方はセミナー情報ページもご覧ください

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DXの課題

NCDCはさまざまなDXのプロジェクトに関わってきた実績がありますが、もちろんすべての企業がDXに成功するわけではありません。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
経済産業省 DX推進ガイドライン 2018年12月

DXは企業全体で長期的に取り組むべき課題なので、一部分を見て成功・失敗を言い切ることはできませんが、残念ながら当初に期待されたほどの成果に繋がらなかったプロジェクトもあるのが事実です。

なかなか期待された成果を得られないプロジェクトを振り返ると、DXに取り組む組織にとって重要なものが足りていなかったケースが多いのではないかと感じることがあります。
そうした経験を踏まえて、このセミナーでは、DXを推進する企業が組織面で準備すべきことについてご説明します。

DXの2つの方向性

DXは大きく分けると2つの方向性があります。この方向性によって、必要な組織やプロジェクトの進め方も異なります。

  • 新規サービス系DX
    デジタルを活用した新たな収益源を作る。あらたなサービス・事業を作る。
  • 業務改革系DX
    デジタルを活用した既存業務の変革を行う。

どちらにも共通していえるのは、「DXの専任組織はあったほうがいい」ということです。
DXを推進するためには、デジタル技術の知見や、ビジネスモデル(自社の強み)・既存業務プロセスの理解は欠かせないため、通常業務との兼任で取り組むタスクフォース、プロジェクトといったレベルで対応できるほど簡単なものではないと考えるべきです。

新規サービス系DXは2つの特性に分けられる

「新規サービス系」のDXは、その中でまた2つの特性に分類できます。

1.世の中にないイノベーティブなサービスの場合

イノベーティブなサービスは、アイデア創出から市場投入するまでにさまざまな難関があり、実際に事業を始めるまで長い道のりがあるといえます。そのため、まずはスピーディにスモールスタートして、辛抱強くトライアンドエラーを継続することが大切です。
トライアンドエラーの継続という面でとくに重要なのは予算の取り方です。「1回分のPoCの予算しか取っていない。その結果を踏まえて次の予算取りに動く」という進め方だと本格展開まで進めるのは難しくなります。
イノベーティブなサービスを生み出そうとする場合、組織として3年分くらいの予算を最初に決めておくような、本気で取り組む姿勢が必要です。

2.既存のビジネス分野に新規参入する場合

自社にとっては新規ビジネスでも、既に他社の成功事例がある場合はビジネスモデルの検証は必要ないといえます。
このパターンでは、どちらかといえば「ビジネスモデルの検証」よりも、すでに存在している市場の中で「どうやってシェアを取るか」のプランや、そのために投下できる予算をしっかり確保しておくことが大切です。
また、ときどきビジネスモデルの検証は必要ないにも関わらずPoCをやりたいというお客様もいるのですが、ほとんど結果の見えているPoCをやるくらいなら、その予算と時間は実際の市場で勝つために投入すべきだといえます。

(関連記事)
成功例に学ぶ、PoCで失敗しないための2つのポイント

新規サービス系のDXに必要な組織機能とは?

前述の内容を踏まえて、「新規サービス系」のDXを推進するために必要と考えられる組織機能を3点紹介します。

1.予算を確保し、的確に使う能力

PoCが必要な場合は、成功するまで繰り返し実証できる予算(人件費)の確保が重要です。
一回のPoCの予算しか確保していないケースも多いようですが、一回のPoCだけで事業化を成功するのは難しいという理解が必要です。
PoCが必要ない、既存市場への参入の場合は、市場を押さえるために必要な予算(営業・広告宣伝費)が重要になります。

2.デジタル技術を目利きする能力

プログラミングがわかる必要はないですが、DXに必要なデジタル技術を導入するためにどのくらいの期間・コストがかかるのか?どのくらいの実現性なのか?などを大まかに理解し、判断できる機能が必要です。

3.自社の強み、事業環境を把握できる能力

外部のコンサルティングなどを使う場合でも、自社の強みや事業環境を把握して判断するという部分はなかなか外部人材に任せられない範囲です。そのため、これを担う機能が自社内に必要です。

まとめ

新規サービス系のDX では担当組織がそのまま別会社となり(スピンアウトして)ひとつの会社として独立採算でやっていくくらいの覚悟が必要だといえます。
お客様の話を聞くと「ジョブローテーションの一環で担当に就いた」というケースも多いのですが、短期間で結果を出すのは難しい分野のため、数年間担当するだけの人しかいない組織では成功は難しいといえます。

業務改革系DXの一般的な進め方と特徴

業務改革系のDXは、膨大な業務の中でまずどの領域の改革に取り組むのかを決めて、検証・展開を繰り返していくという進め方が多いと思います。
実はこれ自体は昔からある業務改革の取り組みと違いはありません(「データとデジタル技術の活用」が前提の改革なのかどうかがDXと呼ぶかどうかの境目なのかもしれません)。

そこで考えたいのは「単なる業務改革だけで本当にDXなのか?」という問題です。
DXと呼ぶからには、その業務改革で生み出したモデルによって新しい収益源を得るところまで視野に入れるべきだといえます。
たとえば、製造業の企業がITを用いて自社の業務プロセスを改善する場合、そのノウハウを販売することで新たな収益を得るというモデルが考えられます。
「もとは製造業専業だった企業が、製造業だけでなくIT企業の側面も持つかたちに変革する」。そこまで視野に入れるような取り組みが、めざすべきDXの姿だといえるのではないでしょうか。

業務改革系DXの具体例

他業種からITサービスへの参入は昔からの確立された新規事業展開方法です。具体例としては下記のものが挙げられます。

  • NECの「EXPLANNER(生産管理システム)」
    米沢工場のPC組み立てプロセスとノウハウを外販化
  • 住友電気工業の「楽々フレームワーク」
    自社で使っていたノンプログラミングツールをIT小会社から外販化
  • サントリーの「Sunbatch」
    自社で使っていたシステムのバッチ処理をIT小会社から外販化

業務改革系のDXに必要な組織機能とは?

前述の内容を踏まえて、「業務改革系」のDXを推進するために必要と考えられる組織機能を3点紹介します。

1.技術とその適用範囲を判断できる能力

まず、どのようなテクノロジーを活用して、どの領域で業務改革を推進するかを判断できる能力が必要です。そのためには、何よりも自社の強みやビジネス戦略、業務プロセスを理解している必要があります。
また、業務改革系のDXでは既存システムとの連携が必要になるケースが多いので、自社の既存システムの状況もある程度理解できる人材が必要です。

2.デジタル技術を目利きする能力

プログラミングがわかる必要はないですが、DXに必要なデジタル技術を導入するためにどのくらいの期間・コストがかかるのか?どのくらいの実現性なのか?などを大まかに理解し、判断できる機能が必要です。
(先に挙げた新規サービス系のDXと共通です)

3.ビジネス戦略まで考え得る能力

自社の業務改革をなし得た後のステップではありますが、その業務改革で生み出したモデルによって新しいビジネスを生み出すことまで視野に入れると、事業の進め方や、マーケティングなどの知識もあることが望ましいです。

まとめ

業務改革のDXでは、DX推進組織は企業全体の改革のコーディネーター的な役割を担います。そのため最新テクノロジーに明るい人材を用いる場合でも、できれば技術がわかるだけではなくプロジェクト運営の経験のある人材を選ぶ。その改革によるビジネス面での効果や将来の事業化の可能性まで判断できる人材も加えるなど、一部領域の改革だけでなく企業全体への展開や将来の事業化まで視野に入れた組織が望ましいです。

DX 推進の失敗例

本当は成功例をたくさん紹介したいのですが、DXという言葉が使われ始めてからまだ日が浅いため、成功例はまだまだ少ない(その途上にある企業が多い)のが現実です。そこで、ここではDX推進に役立つ知識として、DXのよくある失敗例を3つご紹介します。

DX推進組織の権限不良

とくに新規サービス系で多いのが、推進担当自らのアイデアが通りにくいという失敗です。上層部のアイデアを優先する文化が根強く、担当者の意見が採用されない。予算の執行権限も弱いという企業では、なかなか新規事業は成功しません。
先に紹介した通り担当者が自ら「独立採算で会社を立ち上げる」くらいの心意気で(権限を持って)やっているかどうかが重要です。
もちろんこれは上層部・担当者のどちらかだけが悪いということではなく、上の方が口出ししすぎるも、下の方の当事者意識が薄いもの問題だと思います。

デジタル人材の外部からの採用

優秀で経験のあるデジタル人材は簡単には採用できません。コンサルティングをしていると、「社内に最新の技術に明るい人材がいないので今から採用します」という話もよく聞きますが、自社のビジネスにマッチする優秀なデジタル人材はそうそう見つからないでしょう。採用できたとしても継続しないケースも多いようです。
良い人材を採用するには時間とコストがかかるものですし、外部から採用していきなり任せるのはリスクを伴います。
社内やグループ内で育成することを前提として考え、プラスαの施策として外部からの採用を並行して検討するような進め方が良いと思います。

コンサルティング会社を適切に使えない

コンサルティング会社に丸投げするだけで、何も進まないという失敗もよく聞きます。
DXはまず「自社」をいかに知っているかが大切なポイントですので、継続的に自ら考え・行うことが大前提となります。
外部リソースを使うこと自体は問題ありませんが、目的を明確にして、丸投げのような発注になってしまわないように注意が必要です。

DX推進のフレームワークを用意しています

NCDCでは、DXのコンサルティングサービスを提供しています。また、DXを推進する「組織」を中心とした領域のフレームワーク「NCDC DX Acceleration Framework(NDAF) 」と、このフレームワークをベースにしてDXの企画から推進までをコーチングするプログラムもご用意しています。
(ご提供するのはフレームワークとコーチングであり、実際に自社のDXを考え、推進するのはクライアント企業の皆さまです)
ご興味のある方はぜひお問い合わせください

NDAFを解説するホワイトペーパーも用意していますので、まず資料を確認したい場合は下記のリンクからお申し込みください。
資料「NCDC DX Acceleration Framework White Paper」をダウンロード

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