一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会様

日本発のISO/IEC規格"ETA"の実証実験を完遂。
NCDCが支援したアプリと共通ライブラリによって、東京オリンピックに向けた普及を目指す

2014年11月に60カ国以上が参加し開催されたIEC東京大会の併催イベントとして実施された日本発のISO/IEC規格“ETA”の実証実験にNCDCが協力。主催した一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(以下、JBMIA)の皆様にお話を伺った。

※ETAとは、Enhanced Terminal Accessibility using cardholder preference interfaceの略でカード等に格納された個人の支援リクエスト情報に合わせて、券売機や、コンピューターなどのユーザーインターフェースが自動的に切り替わる仕組みです。ETAに対応したアプリケーションやシステム、機械が普及する事で、日常生活の多様なシーンで、最適な形でパーソナライズされたインターフェースをスマートデバイス等の機器を通じて受け取る事ができるようになります。ETAの仕組みは高齢者や障害を持った方に向けたサービスを中心に注目されています。

── 貴協会のご紹介をいただけますでしょうか?

中西氏 ── JBMIAはもともとビジネス機械のメーカーを中心に、共通の課題や通商問題など、社会にお役に立てる分野を中心として設立した団体でした。近年ではソフトウェアやアプリケーションにも力をいれる必要が有り、今の団体名になりました。技術の標準化を行ない、世の中に広く使って頂けるものにすることを加盟企業全体の戦略としています。今回はIT関連の実証実験を世界中の方に見て頂ける機会と捉え取り組んできました。

── ETAにおける貴協会のこれまでの取り組みについてお聞かせ下さい。

寄本氏 ── JBMIAではETAに関して大きく2つの活動をしております。一つは、標準化に向けた動き、もう一つは、ビジネスへの応用を作業部会で検討し、活動していく動きです。標準化に向けては、2008年6月に案を作成して3年間という異例のスピードで規格ができました。スイスジュネーブの国際会議でプレゼンテーションをした際に、「もう日本でやっているのか?」と諸外国から聞かれる等、当初から非常に注目されました。ISO事務局がアクセスビリティを重要なテーマ・課題と認識していた事が短期間での規格化に繋がったと考えています。
信濃氏 ──カード部会は一社単独ではできないものを実現する事を目的として、各種カードのビジネス普及を促進する活動を行っています。ETAは重要テーマとして認識しており、この度の実証実験のワーキンググループ(以下WG)活動にも力を入れて取り組んできました。

── 今回の実証実験の目的と背景を教えて下さい。

寄本氏 ──当時はまだ東京オリンピックの話しもありませんでしたので、規格を作ったけど普及しないのではないか? との心配がありました。その様な時に、経済産業省からIEC総会を紹介してもらい実証実験をすることになりました。目的は、ETAに対応したシステムやサービスのプロトタイプを作り、ユーザーに実際に使ってもらいフィードバックを貰うことです。加えて、普及活動への理解を頂く目的もありました。

── 具体的なプロジェクトの内容をお聞かせください。

寄本氏 ── 実証実験は12社のご協力を頂いて実施しました。NCDC様に開発をお願いしたレストランメニューのアプリ化の他、銀行ATMの実験、デジタルサイネージを用いた実験、ETA/TIMのスマートフォン対応の4つの実証実験を東京国際フォーラムで行い、2週間で300名以上の方に参加頂きました。特に、レストランメニューアプリ化では、実際に営業されている3つのレストランに協力頂き、リアリティのある実証実験ができたと思っています。

── どのような体制でプロジェクトを進めましたか?

大野氏 ── ETA実証実験WGを JBMIAのカード部会の傘下に設置して約1年間の準備をしました。IEC東京大会側との調整等と平行して企業への協力の働きかけを数ヶ月にわたり行いました。NCDC様との打合せも寄本さんと私を中心にしたメンバーでプロジェクトを進めさせて頂きました。

── NCDCとはどのようなキッカケでご一緒にすることになりましたか?

大野氏 ── 元々はアクセスビリティや、モバイルアプリケーションに知見がある会社ということで、紹介を頂いたのがキッカケです。その時に、NCDC様の金代表と、十川さんにお会いして実証実験への協力のお願いをさせて頂きました。

── NCDCが担当したETA対応のレストランメニューアプリについて、どのようなアプリを開発したか教えて下さい。

寄本氏 ── 会場の3つのレストランのメニューを電子化したアプリを開発して頂きました。デザインや翻訳も含めてNCDC様にお願いしました。このアプリは、ユーザーの情報を事前に登録したカードを読み込み、ディスプレイに表示される情報が変わる仕組みになっています。例えば、「表示される文章が、英語で、大きな文字サイズの表示が必要」という情報を登録したカードの読み取ると、メニュー画面の表記も英語に切り替わります。更に文字のサイズも通常よりも大きい画面が表示されるようになります。

レストランメニューアプリの画面遷移イメージ
── NCDCの進め方は如何でしたか?

寄本氏 ──デザインも含めて短期間で開発して頂き非常に満足しております。また当初こちらの構想にはなかったETA対応共通ライブラリをNCDC様から提案して頂きました。これは、ETAの仕組みを活用したいレストランがアプリを開発する時に、容易にアプリが開発できるように部品化したものです。NCDC様の技術力や先見性を目の当たりにし、とても心強く安心してお任せできました。アプリでのETA規格の活用の方向性を示して頂けたと思っています。

メニューアプリの構造とETA対応の共通ライブラリ
── レストランメニューアプリについての評価は如何ですか? 利用者の方の声なども教えて下さい。

寄本氏 ── アンケートを実施したのですが、ユーザーからは概ね高い評価でした。観光で日本に来られている方からも便利だったとコメントもありましたね。協力頂いたレストランからは、(各国言語に自動で切り替わることから)海外からのお客さまに対してのサービス提供側の負担が下がった、との報告もありました。

── スマートフォンなどのモバイル機器とETAの観点で今後の可能性や展望についてお聞かせ下さい。

信濃氏 ── NCDC様も“UX”というキーワードでビジネスをされていらっしゃるのですよね? ETAが実現する個人専用アクセシビリティ機能の自動設定の仕組みは、利用者に使い勝手のよいモノやサービスを提供することに繋がります。NCDC様と目指している方向性は一緒だと感じています。今回一緒にプロジェクトをして、NCDC様のスキルの高さや、構想力や実現力を見せて頂きました。特にこれからの時代は何を企画するにもスマートデバイスやアプリの活用を考慮しないといけないと感じています。これからもお力をお借りできたら心強いですね。

中西氏 ── オリンピックに向けてETAを広げていきたいと思っています。多くの社会インフラでETAの規格が活用され機械やアプリのインターフェースが使いやすくなる。そのような状態が早期に実現するように取り組んでいきたいですね。

左から
大野克行氏
一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会
標準部(第108委員会・ISO事務機械国内委員会)担当部長

信濃義郎氏
一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会
カードおよびカードシステム部会長

中西英夫氏
一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会
専務理事

寄本義一氏
一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会
カード及びカードシステム部会 ETA実証実験WG 主査