エンジニアのための実践的UXとは?

2012.11.21

最近UI(User Interface)、UX(User eXperience)やデザインという用語が注目されています。ビジネスにおいても「デザイン思考」という概念が流行っており、世の中はまさにデザイナーやデザインが旬とも言える状況です。
早くからこれらの概念及び実践の重要性を感じ、これらを軸にしてきた私としては何より嬉しいことです。しかし、現状ではUIやUXに対して色々と混乱があるようにも感じます。一言でUXやUIのデザインと言っても、実はそれらを構成する多様な種類のデザインがあります。しかし、それらの具体的な区分と定義がなされていないまま、一つの曖昧な概念として使われていることを目にすることもあります。
これでは、デザインの専門家以外からは、「美的センスや感性がものをいう、組織や論理よりも属人性が強い世界」に映ってしまっている可能性が高いと思います。しかし、デザインの世界にも普通の人に理解できるロジックや手法が存在します。優秀なデザイナーと協業したことのある方なら、デザイナーが自らのデザインに対して極めて論理的に説明することを経験したことがあるはずです。もちろん、個人的な感性も大切ですが、デザイン作業の多くはロジックで決まる部分がデザイナーの感性によって変わる部分よりも大きい割合を占めています。デザイナーの仕事とは、デザインする対象に対して先ずはロジックを忠実に守ったデザインを作った上で、さらに自分の感性でちょっとしたスパイスをかけていることと言っても過言ではありません。
これをエンジニアが分かりやすく、プログラミングに例えて話してみましょう。プログラミングにおいても言語に依存しない基礎的な要素があります。例えばアルゴリズムやデータ構造、ファイルやDBMSの操作、そしてハードウェア構造やネットワークなどがそれです。その知識の上に各言語の文法やプログラムの作成に必要な基本的な作法、推奨されているベストプラクティスなどです。そして多くの場合は属しているプロジェクトで決まっているコメントやコード、添付文書の書き方などの作法も存在するでしょう。それらを理解し、忠実に守ってコーディングしていれば基本的には(すごく質の悪いプログラマーでない限り)読みやすく、問題の少ない品質の良いコードの作成ができます。
これらの作法やルール相当のものがデザインの裏にもきちんと存在しますし、それらを充実に守れば一定水準以上のデザイン品質は保たれることになります。もしすごく優秀なプログラマーがチームにいるなら、その人は同じ作法に従いながらもより効率よく美しいコードを記述するでしょう。その部分が属人性です。プログラマーの腕の見せ所ですね。同じく、共通のロジックに基づきながらもよりすばらしいデザインを生み出すのはデザイナーの個性やセンスが発揮される部分です。
プログラムの作成においてグルと呼ばれる位の実力を身につけるには長い時間の学習と経験が必要です。ただし、プロジェクトの全てのメンバーがグルである必要はありません。グルが一人もいなくても、チームワークを発揮して素晴らしいソフトウェアを開発することすら不可能ではありません。デザインに対しても同じことが言えると思います。世の中の注目を浴びて、世界を魅了するデザインを継続して作り出すにはデザインのグルが必要でしょう。例えばアップル社のジョニ・アイブと彼のデザインチームです。しかし、皆さんの会社を含め、全ての組織がアップル社並みのデザインチームを持つのは難しいことでしょう。でも当たり前ですが、プログラミングだけじゃなく、デザインの世界でもグルではない人でも頑張ってできる部分が多くあります。もし、あなたが専門的なデザイナーでなくても、デザイナーの視点で既存の製品をより良いものに改善することができるのです。そしてそれはあなたの仕事において十分な価値を生み出すことができます。
Guru
ところで、グルの対極にはスクリプトキッド(Script kid)がいます。あまり深いプログラミングの知識を持たず、あっちこっちでコピーしてきたコードを組み合わせて短時間で必要なソフトウェアを作り出す人のことです。主にクラッキングなど、悪いことをするためにハッキング用のソフトウェアを急造する人を指す用語なので、どちらかと言うと悪いイメージがありますが、ここでは彼らの見事な仕事ぶりだけに注目して見ましょう。彼らの作り出すコードは品質的にはそれほど高くなく、多くの場合完全性も欠けているものです。しかし、ここで注目したいのは彼らのコードは「目的を達成する」と言うことです。しかも「早く、安く」できます。「早く、安く、そして確実に目的を達成する」ことは全てのビジネスで夢見ることでしょう。
Script kid
これからの連載ではUXのグルではなく、UXやUIデザインにおけるスクリプトキッドを育てるための内容を書いて行きます。世界を変える革新的なデザインはアップルのジョニ・アイブに頑張ってもらいましょう。私達は自分の製品、自社のサービスをほんの少しでも、昨日よりいいものにことに集中しましょう。
要するに、「狙うのは改革ではなく改善」です。
高度な感性とスキルを持った専門的なデザイナーになる必要はありません。数年間の勉強と経験も要りません(あればもっといいのは当たり前ですが)。
ちょっとした勉強と明日からでも職場で実践できることで、少しずつ現状を良い方向に変えていくのです。
そして、実はこのような地道な実践がデザイン思考やUXデザインの本質にも繋がります。(なぜそうなのかにについては後述します。)そして改善の積み重ねの先には改革が待っています。
前置きはこれくらいにして、次回から具体的な内容に入りましょう。
みんなで目指せ!UXキッド!

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