UXデザインは結構贅沢なもの?

2015.06.07

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金成哲です。

「UXDは結構贅沢な話だな」と最近考えることがありました。

私はコンサルティングでUXDの仕事をしていますが、自社製品(アプリ開発用プラットフォーム)を直接使ってみる(Eating Dog Food)ためにも、最近はコードも書いています。つまり、UXDのコンサルをしている時は要件を言う立場ですが、コードを書いている時は要件を聞いてそれを実装する、エンジニアの立場になっているのです。自社製品のプロダクトオーナーは社内の他のメンバーで、彼は「使用性を考えたらこうしてほしい」とか「他との一貫性を考え、ここは変えて欲しい」とか色々要求してきます。UIデザイナーからも細かい指摘を受けることがあります。正しく動く機能を実装するだけでも私は時間的に精一杯な状態なのに、お構いなしです。

趣味でなく、仕事でコードを書くのはかなり久しぶりです。同じ仕事でもUXを考える立場からエンジニアとして実装する立場になると、見えてくる景色が大きく変わるものです。実装の手間を知らない人の「こっちが使用性はよさそうなので、こうしてほしい」は、ただの面倒な要求にしか聞こえなくなります。だって、私の仕事が増えるだけですもの。

特にそのメリットが明確でないか、理由がきちっと説明されてない改修の要求には結構なストレスを感じます。そんな時、エンジニアの目に映るUXデザイナーはただの邪魔者でしかない(!)。日々UXデザイナーの要求に応じて実装を行うエンジニアが、どのような思いをしているかがよく分かります。簡単に表現すると、「このバカヤロ〜〜」であります。

私は元エンジニアだったので、エンジニアの感覚は十分知っているつもりでしたが、実際に経験するとこれがまた違うんですね。こちらが時間を削りながらやっとの思いで機能を実装しているところに「使用性云々」ときたら、「この状況で結構贅沢な話をしているな〜」と思ってしまいます。仕事の場で他社のエンジニアさんがよく言う、「予算や期間がタイトな中でUXDの対応までやるのは無理です」という表現、その気持を心が痛むほど分かります。

本当に、UXデザインって、結構贅沢なものですね!

このような経験をすると普段の自分の仕事を振り返ってみることにもなります。私の場合、エンジニアもITコンサルタントも経験しているので自分がUXデザイナーとして関わる殆どの案件は自ら実装できる位の技術的な知識と経験を持っています。実際にUXDの傍ら、アーキテクチャーやコードレビューなどの技術的な支援を行うこともあります。ですからエンジニアの説得は得意だと思っていました。

「それはこうすれば簡単にできるでしょう?」

「ここの設計を変えれば大して工数かかりませんよね?」

「この文書を参照してください。やり方が分かります。」

とか、今まで簡単に言っていました。

私なりには、エンジニアさんの負担を減らし、仕事を助けるつもりでした。しかし、本当に伝えなければいけなかったのは、それではなかったのが今になって分かりました。お願いしている追加作業の価値と理由を、何より先に最も丁寧に伝えるべきでした。やろうとしている追加作業の価値についてエンジニアの理解が得られてないなら、いくらやり方を教えても何も感謝されることはないでしょう。(余計な仕事を作りながらそのやり方を教えてくれてもね〜)

UXDではユーザーとの共感を強調していますが、一緒に仕事をする人との共感も大事である筈です。特に大きな組織、プロジェクトでUXDに対する支持を得るためには最も気をつけないといけない部分かもしれません。

UXデザイナーはユーザーだけに集中するより、一緒に仕事をしている他の人に対する自分達のUIを考え直さないといけないと思います。そうでないといつまでもUXDは「結構贅沢なもの」でしかないと思います。

ということで、今までの自分の愚かさを痛感しつつ、お客様やエンジニアなど、周りの仕事仲間に対するUXDからの新しいアプローチを考える必要があると思っている今日この頃です。

UXDを贅沢なものにしているもう一つの要素、「工数」に対してはまた別の機会に(気が向いたら)書きたいと思います。

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