事例紹介

自社ソフトウェアのグローバルでの評価を、たった1ヶ月で劇的に改善したUXデザインと実装のコラボレーションはどうやって実現したのか? その経緯や進め方、成功要因をリアルに語る。
住友電気工業株式会社様

創業120年を超え、自動車、情報通信、エレクトロニクス、環境エネルギー、産業素材の5つの分野でグローバル展開している住友電気工業株式会社(以下、住友電工)。

今回は国内導入400社以上の実績を持つ電子承認システム「楽々WorkflowII」※1UXデザインを適用して、1ヶ月という短期間で「楽々WorkflowII」のUIを改善することで使い勝手を大幅に向上し、ビジネスにおける具体的な成果を出したプロジェクトについて、責任者である和田氏、池田氏、山下氏に話を伺った。

UX/UIデザイン

グローバル展開システムの内製化の次にUXデザインの向上を目指す住友電工の情報システム部門

「楽々WorkflowII」のUX改善プロジェクトを中心になって推進された情報システム部の特徴を教えてください。

和田:弊社の情報システム部は、社内の製造部門のシステムや関連業務に必要なシステム等、自社システムの内製を基本としています。外部に丸投げすることはなく、企画、要件定義から実装して納品するまでの全工程を自分たちで行っています。その結果、情報技術のより深いところまで真剣に向き合っている点が他社の情報システム部門とは大きく異なるところではないかと個人的には思っています。

また、海外に関連会社が300社くらいありますので、海外で使われるシステムをサポートする組織も情報システム部にあります。各地域には駐在員がおり、該当地域の要件を取りまとめて日本に持ち帰り、日本で設計・開発して提供しています。

みなさん業務と技術にとても幅広い知識を持たれている理由が「内製化」にあったのですね。本プロジェクトに関わった皆様が主に担当している仕事の内容も教えていただけますか?
みなさん業務と技術にとても幅広い知識を持たれている理由が「内製化」にあったのですね。本プロジェクトに関わった皆様が主に担当している仕事の内容も教えていただけますか?

和田:私は情報システム部の中のIT活用推進グループに所属しています。
国内も海外も含めて、より多くの人にITを知ってもらい、使ってもらい、業務の効率を上げる役割です。我々が提供しているシステムやサービスのプロモーションを行い、同時に、海外のニーズを引き出して必要なシステムを提供したり、困っているところを直したり、そういった活動をやっています。

池田:私は、住友電工の開発インフラや開発手法などの標準化を担当しています。最近は、いままでは社外に外注していたスマートデバイス向けのアプリ開発の内製化に着手しています。従来のパソコンで使われるシステムだけではなく、持ち歩きながら使うシステムをどうやって設計・開発していくかに注力しているところです。

山下:私は、「楽々WorkflowII」の外販組織に属しております。住友電工は大きな企業で、様々な要件が日々発生しています。その対応策としてできたものをまずは社内に適用して、結果が良かったものは外販できるものに追加してきます。常に多様なノウハウを吸収して、それをお客様に提供することが仕事ですので、今回のUXデザインから得た成果も、今後の展開に活かしていくことを考えています。

それでは貴社がUXデザインに着目した理由を教えていただけますか?

和田:「自分たちが作ったシステムをいかにユーザーさんに有効に使ってもらうか」をミッションとして動いている中、自分たちで作ったシステムはコストを優先して構築しており、「使い勝手が悪い」、「見た目が悪い」という課題がありました。そのような状況で3年くらい前に、国内外、グループ会社を含めて共有して使うコミュニケーションシステムを開発する企画が上がってきました。その時、「今までのやり方ではまた使いにくいものができるかもしれない」と思い、なんとか改善していきたいと考えていました。

そこでUXデザインのコンサルティングをしている会社を探したということですね。

和田:はい、その時にUI/UXデザインに強い会社はないかと調べ、様々な会社に問い合わせをしました。しかし、いわゆるウェブ、ホームページの改善などをやっているところはたくさんあったのですが、弊社が求めていた「業務システムのデザインのノウハウと経験を持っている」「デザインだけでなく実装段階までも支援してくれる」という2つの要件を満たしているのはNCDCさんだけでした。

そうかもしれませんね。確かに最初にお声がけいただいた案件がそのグローバルな社内コミュニケーションシステムでした。NCDCは業務システムのUXデザイン案件を数多く経験していましたが、貴社ほど世界中の社員が使われるグローバル環境でのUXデザインは我々にとっても興味深いものでした。
そうかもしれませんね。確かに最初にお声がけいただいた案件がそのグローバルな社内コミュニケーションシステムでした。NCDCは業務システムのUXデザイン案件を数多く経験していましたが、貴社ほど世界中の社員が使われるグローバル環境でのUXデザインは我々にとっても興味深いものでした。

池田:既存の仕事の中でも操作しやすさ、分かりやすさなど、いわゆる使用者の経験に対してはそれなりの気を配ってはいたつもりでした。しかし、エンジニアだけでは限界を感じていました。グローバルな環境で使われる前提のコミュニケーションシステムを作る上では、これまでのようなやり方ではなく、その分野での専門家の協力を得る必要があると思い、お声がけしました。それがNCDCさんとの出会いのきっかけでしたね。

お陰様で、当時作った社内コミュニケーションシステム「SEI Global One」は現在でも、とてもよく活用されています。大きな成果だと思っています。

国内トップシェア製品「楽々WorkflowII」に突きつけられたグローバル展開での課題

それは良かったです。それではこのあたりから今回のUX改善のプロジェクトの話をお聞きしていきます。最初に今回のUXデザインの対象であった「楽々WorkflowII」は大変有名な製品だとは思いますが、一応読者の方に簡単に説明していただけますか?
それは良かったです。それではこのあたりから今回のUX改善のプロジェクトの話をお聞きしていきます。最初に今回のUXデザインの対象であった「楽々WorkflowII」は大変有名な製品だとは思いますが、一応読者の方に簡単に説明していただけますか?

山下:一言でいうと電子申請のシステムです。例えば、一番分かりやすいのが社内稟議です。起案して、それを上長が承認して、関係部署が確認して、最後に最終決裁される。この流れを全て電子化して社内で使っていたものを「楽々WorkflowII」という製品として販売させていただいています。販売開始から結構時間も経ちまして、お陰様で、数千人~数万人規模の企業を含め、国内外で多数の導入実績があります。

池田:最近はクラウドサービスも提供しておりますので、大規模の企業だけでなく小規模なお客さまでも使いやすい製品にはなっていると思います。

電子申請・ワークフロー分野の製品としてはトップシェアを走り続けている製品ですよね。非常に多くの企業に導入され、ビジネスとしても成功してきたこの製品のUIを改善しようしたきっかけは何でしょうか?

池田:アメリカの子会社にて電子申請システムが必要になって、そこに「楽々WorkflowII」を採用してもらおうと思いました。しかし、過去に弊社の別の文書管理ツールをアメリカの子会社に見せたところ、「機能が多過ぎで、操作が非常にやりにくい」と言われたことがありました。「楽々WorkflowII」に関しても同じ評価になってしまう可能性が高いと思いました。
そのため、私の方でできるだけ操作をシンプルに改善して、現地の方に提示してみたところ、反応が良くなりました。それで、「UX改善の方向性は合っている」と判断したのです。とはいえ、まだ改善は不十分で、当社の力だけでは限界があったので外部に支援をお願いすることにしました。

和田:あの時は本当に、スケジュールがかなりタイトで大変な状況でした。次の改善版を見せて採用の最終判断をしてもらうまで1ヶ月くらいしか時間がなかったです。

そこで、再びNCDCの登場となったのですね?
そこで、再びNCDCの登場となったのですね?

池田:はい、NCDCさんだったら弊社のことはもちろん、業務システムをよく知っているので話が早いですし、今までの弊社との実績で信頼もできると考えました。それですぐにNCDCさんにお願いすることを決めました。また、おそらく他社では今回のような厳しい条件では対応が難しいだろうなとも思いました。

 

和田:NCDCの金さんに頼んだら大丈夫だろうと思っていました。

池田:その当時から弊社と金さんとの信頼関係はそれなりにできていましたね。

超短期でのUXデザインの成功を導いた3つのキーサクセスファクターとは

超短期間でのオーダーでしたので、我々も最初は「できるかなー」と少しは思いました(笑)。そもそも最初の会議のスケジュールも、なかなか決められなかったですね。そんな中プロジェクトがスタートしたわけですが、NCDCの進め方で特徴的なところはありましたか?
超短期間でのオーダーでしたので、我々も最初は「できるかなー」と少しは思いました(笑)。そもそも最初の会議のスケジュールも、なかなか決められなかったですね。そんな中プロジェクトがスタートしたわけですが、NCDCの進め方で特徴的なところはありましたか?

和田:例えば、「メニューが何となく分かりにくい」など、ユーザーから課題がパラパラと出るじゃないですか。そんな時、よくあるのは、言われたことを何となく直して、最初に課題を出した人はOKしてくれるのですが、他の人からすると依然として使いにくいという、場当たり的な対応をやってしまうことだと思います。

しかし今回、NCDCさんに入ってもらって、私がすごいなと思ったのが、個別の課題に対して反応するより、全体を俯瞰しながらどのような見せ方、使い方、ビジュアルデザインにするかを非常にロジカルで分かりやすく出してくれたことです。コンサルタントが頭の中で暗算してやってしまうのではなくて、問題の定義から、解く過程の式さえも見せながら解答を見つけていく感じですね。
例えばメニューの構成に対しても、各メニューをユーザーの利用シーン別に分類して、その下にどんな機能が必要かをユーザーの視点から洗い出し、利用頻度や重要性などの客観的な基準に基づいて整理して修正案を出してくれました。

デザイン作業を外部に任せて、過程が見えないブラックボックスの状態で成果物だけが返ってくるのではなく、デザインとエンジニアリングの両方をきちんと考慮した答えが、その理由まで明確になって返ってくるところが非常に頼もしいというか、ありがたいというか、そういうふうに思いました。

しかもそれを2週間という短期間でやってくれましたね。

我々のデザインの時間も限られていましたが、改善されたデザインを2週間という超短期間で実装されたことにも驚きましたよ。それはどのようにして実現できたのですか?

池田:それは住友電工の情報システムの技術力が出せた成果ですね。

山下:やはり全部自社で作成して管理している製品なので、隅々まで分かっています。
池田をはじめ、開発部隊は個々の修正に対してどのような影響があって、何を考慮しないといけないか、もう全部熟知しています。実装しながら都度変わる要件に対応していくことには結構慣れていたところもあります。提案されたデザインをアジャイルとまでは言えませんけれども、デザインの提示に合わせて即実現しながら、ああだ、こうだと議論もしながら進めました。

まさに「UXデザインを成功させるための住友電工とNCDCの理想のOne Team」であったからこそ1ヶ月という短い期間で実現できたのだと思います。手法に関しても、今回は「デザインスプリント」と呼ばれる手法の応用で、本当に短期間で全部やってしまう、短距離走のようなやり方で実施しました。

和田:確かにそうですね。過去に別件で金さんたちにUXデザインをお願いした時は、プロジェクトのゴールを決めて、ペルソナを定義して、ジャーニーマップを描いて等、しっかりUXデザインのプロセスを踏んでやっていましたね。それはそれで、後になってプロジェクトにおけるUXデザインの価値とか、何を目指してデザインや機能の設計をしたかという振り返りができて、非常によかったのですが、今回はそのような時間的余裕が全くなかったものですから。

UXデザインのプロセスを圧縮して、ある程度は金さんたちに引っ張ってもらいながら走り抜いたという感じでした。こういうやり方もあると体感できました。
UXデザインにも多様なやり方があって、状況に応じて適切な手法を組み合わせて対応していただけて本当に助かったなと思います。

「楽々WorkflowII」は「楽々Framework」※2が基盤にあり、柔軟にカスタマイズできる仕組みになっていました。新しいデザインを短期間で実装まで持っていけたのは、デザインだけではなくて、適切なチーム構成と柔軟なシステム基盤という三つの要素がきちんとあったからこそ、沢山の課題に対してこんな短期間で対応できたのだとNCDCは考えています。

「結果的にUXデザインと実装で1ヶ月かけて改善したシステムのアメリカ子会社での評価はいかがでしたか?

池田:アメリカの会社側からも良い評価をもらい、無事導入が決まりました!

アメリカ現地でも細かい修正作業は続けて、昼はアメリカの会社の人々と会議をして、夜は日本にいるメンバーと一緒に修正するようなハードな日々ではありましたが、評価いただけました。ホッとしています。

UXデザインのさらなる展開とNCDCへの期待

目的が達成できて良かったです。その後、UXデザインを住友電工様の仕事の中に導入してから、他のプロジェクトなどで効果があれば教えてください。

和田:今回のデザイン改善版の評価がかなり良くて、アメリカの別の会社でも導入の検討が進んでいます。中国でもNCDCさんにデザインしていただいたものを広めて行きたいという動きが出てきています。

これは非常に意味があることで、過去には海外の会社に「こんなシステムがあります。」と見せても、最初の数画面を見ただけですぐに「いや、これはちょっと他の人に使ってくださいとは言えません」というフィードバックが返ってくることもあったのです。

機能的に十分要件を満たしていても最初の見た目でその価値を下げてしまっていたのです。一方で、デザインがいいと「お!これは何?」と、最初に紹介したときの第一印象が良くなりまして、その後の話を非常に聞いていただきやすくなります。

また、使用者の観点でデザインされた画面や機能は非常に分かりやすくて、提案が非常にしやすくなりました。

NCDCに依頼してよかったところはありますか?

山下:製品という観点から言うと、外販向けのデザインに対してはある程度力を入れてきました。以前にも外部のデザイン会社に依頼したこともありました。しかし、他のデザイン会社だと、UIのデザインについては意見を頂くこともありますが、どちらかというと私達から「こうやりたい」「ああやりたい」と全部言って、そのままのデザインが出てくるような感じでした。NCDCさんのようにあるべきUXや弊社の状況、そしてシステムのことまで全部理解して踏み込んだデザインをしてくれるところはなかなかなかったと思います。

池田:エンジニアリングとデザインを高いレベルで両立できる会社はほとんど見たことがないので、そういった面でもNCDCさんは信頼ができる会社だなと思っています。

和田:最初のグローバルワンの案件の時もそうでしたけど、デザインとエンジニアリングの両方ができるNCDCさんにやっていただくと、話が早く非常に助かりました。我々が認識できていなかった課題を引き出してくれるといったところもあり、やはりNCDCさんはすごいなと改めて思いました。

山下:「楽々Framework」や「楽々WorkflowII」は大規模の企業要件にも対応できる多機能のシステムとして評価され、多くの実績を持っていますがデザインの面ではあまり優れていたとは言えない状況でした。しかし、これからはデザインも優れているものとして提案して行きたいと思います。

最後にNCDCへの今後の期待など一言お願いします。

和田:金さんからデザインシステムという新しい手法をご紹介いただきました。

楽々Frameworkはデザインを部品化して共通化する仕組みは機能的に持っているものの、具体的にどのようなデザインを適用するかとかデザインのカスタマイズに対する手法が明確に定義されてない部分があるのも事実です。

今後はデザインシステムを作成して、住友電工のビジュアルアイデンティティーに準拠させることで、社内や外販する製品におけるデザインの品質と作業効率をもう少し高いところまで持っていきたいと考えています。

特に昨今、情報システム部が提供するシステムをグローバルで使うことがさらに増えてきているので、日本以外の環境でもぱっと初見でも使いやすいものを提供できたらなと考えています。

関連サイト

1 楽々WorkflowIIは住友電工が開発・販売している本格的なワークフローも簡単・スピーディに実現し、グローバルにも対応した電子承認・電子決裁システムです。

https://www.sei-info.co.jp/workflow/

2 楽々Frameworkは住友電工が開発・販売している部品組み立て型の純国産Webアプリケーション開発ツールです。

https://www.sei-info.co.jp/framework/

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