株式会社三越伊勢丹様

百貨店が挑む、未来を担う子ども向けの新規事業 cocoiku(ココイク)。最先端で他にはない新しいサービスをNCDCのCX(カスタマー・エクスペリエンス)/ UXデザインが支える。

常に一歩先を走っている伊勢丹。2015年3月、子どもたちに最先端の教育を提供するプロジェクトがスタートした。その名もcocoiku(ココイク)。CX/UXデザインの手法を用いてcocoikuのオペレーションやシステム、システムやアプリのUIデザインを担当したNCDCが、事業立ち上げ時の話を中心に、伊勢丹新宿店本店ベビー子供用品営業部 ココイク セールスマネージャー山田幸氏に話を伺った。
── cocoiku の事業概要について教えてください。

山田氏 ── cocoikuは、これからの時代を生きていく子どもたちが、変化の早い時代を上手く生き抜くことや、困難な状況の際に一歩踏み出す力である「メディアセンス」を身に付けるための、学びの場を提供するプロジェクトです。学校や塾とは違う新しい学びの場です。

── cocoiku の特徴は、どのような点でしょうか?

山田氏 ── cocoikuでのイベントやプログラムを通して、「遊んで楽しかった」で終わるのではなく、「メディアセンス」の力を身に付けられることです。例えば、伊勢丹新宿店本館6階のココイクパークでは「動力の仕組み」を学ぶイベントを提案している時期もあります。そこでは車を用いて動力について学び、なぜ走るのかを考えていきます。走る仕組みとして、風船の風の勢い、輪ゴムやネジの回転や坂を使ったり、簡単ではなく少し苦労しながら、様々な手法で走らせることができることを、子ども達が自ら発見するように導いていきます。これらを通じて、 子ども達の創造性も育んでいます。

── 百貨店の伊勢丹が cocoiku といったサービスを提供している意義はどこにあるのでしょうか?

山田氏 ── 伊勢丹はモノを売る小売の会社です。モノを売るということは、お客さまの深層的な願いの一つに応えていることだと考えてきました。モノが売れない時代のお客さまの深層的な願いを徹底的に考えたところ、子どもの学び・成長のサポートへの期待に応えることも、百貨店である伊勢丹ができることだと気づいたのです。

── 他社教育関連のビジネスとの違いについて教えていただけないでしょうか?

山田氏 ── 伊勢丹のお客さまが望んでいることは、「常に時代の最先端である」ということと「他にないものを提供する」ことだと感じています。子どもの学びにも「最先端」と「他にない」という観点で発想し、「メディアセンス」に辿り着きました。つまり、コンセプトである「メディアセンス」そのものが特徴です。

── 新規事業としての cocoikuの立ち上げの際に苦労した点を教えてください。

山田氏 ── ゼロから cocoikuを作っていったので、人、場所、システムも全てが何もないところからのスタートでした。

仮説を立てて準備をしていったのですが、それら全てをじっくり検証する時間がありませんでした。

オープンした時点でもすべてが満足の状態ではありませんでしたが、NCDCさんと毎週オペレーションやシステムについて議論を重ねてきたこともあり、 なんとか予定通りスタートすることができました。NCDCさんと行ったワークショップやロールプレイは本当に役に立ったと思っています。 オープン前日にNCDCさんから送られてきたお花を見た時は涙がでそうでした。

── オープン後は順調とお聞きしましたが、いかがですか?

山田氏 ── おかげ様で多くの方に喜んでいただいております。しかし、ここまでの道のりでいろいろ改善してきた結果と感じています。

特に大きかったのは対象年齢を引き下げたことです。3歳から6歳を対象年齢層としていたのですが、実際にはご来店される方の年齢がもっと低かったことです。 お客さまの教育を始めようという意識が若返っているため、お客さまの思いが自分たちの想定より早く、2歳以下のお子様向けのプログラムを新設しました。

── NCDCと一緒にプロジェクトを行って良かった点はどこでしょうか?

山田氏 ── 特に良かった点としては、NCDCさんとのCXのワークショップを通じて、想像できなかったことをある程度、目に見える形にすることができたことです。 実際にオープンしてシステムを使い始めた時に大きな混乱もなく運用できたことは、NCDCさんの作ったモックのシステムでのロールプレイのおかげだと思っています。 もし、CXのワークショップやロールプレイをなくして、要件だけを伝えてシステムを作ってもらっていたら、ものすごく使いにくいものになって、業務が回らなくなっていたと思います。

── ワークショップの中で特に有益だったところはどのあたりでしょうか?

山田氏 ── 事業目標を再確認したり、「将来を見据えて会員制度をどのようにすべきか?」といったココイクの戦略、百貨店としての戦略の意識合わせから始まったところは大変有益だったと思います。 また、実際の事業開始のオペレーションという意味では、お客さまや従業員を想定したペルソナ定義から、お客さまや従業員の関係するストーリー(カスタマージャーニーマップ)を作っていき、ロールプレイを何度も行ったところです。

── システムの効果はどのように出ていますか?

山田氏 ── 特に効果を実感しているのは cocoikuのプログラムをNCDCさんが開発された伊勢丹のアプリ「MY ISETAN」(iOS / Android) から予約できることです。

これもCXのワークショップの中で出てきた機能なのですが、お客さまが24時間いつでも予約をすることが出来ます。CXワークショップでは我々社員の立場でのロールプレイも多くやりましたが、お客さまの立場にたったロールプレイも多く行いましたので、お客さま視点に立った機能が活かされていることは大変嬉しいです。

── 今後の展開を教えてください。

山田氏 ── お客さまのご要望である0歳から2歳のプログラムを新設したことで、新宿店本館6階の「ココイクパーク」は夏休み以降特に盛況です。これからもさまざまなプログラムを充実させていきます。また、伊勢丹会館5階で実施しているココイクにココイクアトリエを作っており、これまでのお客さまのニーズを反映し、ココイクパークよりも広く、 学びの要素が多い場所となる予定です。

何度も来ていただくことができますので、近い未来には、安心して遊べる都心の公園になってほしいと考えています。

── NCDCへの期待を教えてください。

山田氏 ── 始まってからの現場のスピード感はとても速く、保護者の方がどのように子どもを育てていきたいかという考えも異なっているので、日々ニーズが変化していきます。 そのため、それらに対応していける柔軟なシステム変更や現場の目線で、ないものをイメージできるワークショップなどの提供を引き続き宜しくお願いします。

── 最後に本記事の読者の方にNCDCを紹介していただけますか?

山田氏 ── NCDCさんの特徴としてワークショップなどを挙げさせていただきましたが、最も印象に残っているのは、「親身になって考えてくれたところ」だと思っています。 まだ何も見えていないサービスを考える上で、なかなか明確に決めかねることが多かったのですが、お客さまのこと、我々のことを親身に一緒になって考えて、フォローなどしてくださって、大変助かりました。

山田幸氏
株式会社三越伊勢丹
伊勢丹新宿店ベビー子供用品営業部
ココイク セールスマネージャー